WHO総会閉幕、米中対立鮮明に 米要求新たな火種に

2020/5/20 23:15
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トランプ米大統領はWHOに運営の改善を要求した=AP

トランプ米大統領はWHOに運営の改善を要求した=AP

【ワシントン=永沢毅、ジュネーブ=細川倫太郎】19日に閉幕した世界保健機関(WHO)の年次総会は、米中対立の激化を印象づけた。トランプ米大統領はWHOが「中国寄り」と批判し、30日以内の運営改善を要求。総会ではWHOの初動対応の検証を求める決議を採択したが、中国はWHOの対応を支持しており、米中の溝は深い。新型コロナウイルス対策で国際的な連携が必要になるなか、米の要求は新たな火種となりそうだ。

「彼らは自らの行いを改めなければいけない。もっと米国を含めた他国に公平に付き合う必要がある」。トランプ大統領は19日、資金拠出の再開にはWHOの改革が欠かせないとホワイトハウスで記者団に強調した。

18日付でトランプ氏がWHOのテドロス事務局長宛てに送った書簡は、中国の「透明性」を称賛するなどしたWHOの新型コロナ対応を4ページにわたって時系列で細かく記載した。「前に進む唯一の方法は中国から独立していると示せるかどうかにかかる」。中国への追従ぶりを指弾し、30日以内に改善がなければ資金拠出の恒久停止と脱退もあり得ると警告した。

今回の総会では、WHOの対応について、独立した包括的な検証を求める決議を採択し、テドロス氏は受け入れることを約束した。

ただ、検証作業は難航が必至だ。ウイルスが具体的にどこからどのように広がったのかを調べる必要があるが、中国はウイルスのサンプルを破壊したとされ、発生源である中国湖北省武漢市への立ち入り検査も認めていない。

中国は米国とは対照的に、WHOの対応を称賛して、さらに距離を縮めようと躍起だ。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は、総会での演説で今後2年間で新型コロナ対策に20億ドル(約2150億円)を拠出すると発表した。WHOへの影響力を強め、公衆衛生分野で主導権を握る狙いがあるとみられる。

中国は「マスク外交」を通じた他国への支援や米空母の運用中断のスキを突く形での海洋進出を進めている。トランプ政権は中国が新型コロナを利用する形で世界で影響力を強めていることを警戒している。

米では新型コロナの死者が9万人と世界最多となっている。大統領選を控えるトランプ氏のWHOや中国への批判は、米国内での感染拡大で民主党から自らへの責任追及をかわす思惑もある。

共和もそれを後押しする。米新興メディアのアクシオスによると、先週末にワシントン近郊の大統領山荘キャンプデービッドでトランプ氏は共和党議員から資金拠出を再開しないよう要請を受けたという。

米国はWHOの予算の約16%を拠出する最大の資金の出し手だ。協力がなくなれば、途上国支援などの縮小を余儀なくされる可能性がある。米疾病対策センター(CDC)はスイス・ジュネーブのWHO本部に職員を派遣するなど、人材面でも影響力は大きい。米中対立は世界的な新型コロナ対策も大きく左右することになる。

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