成育医療研、ES細胞から作った肝細胞 新生児に移植

2020/5/21 0:00
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国立成育医療研究センターは20日、胚性幹細胞(ES細胞)から作製した肝細胞を移植する治験を世界で初めて実施したと発表した。生まれつき肝臓病だった赤ちゃんに移植し経過は良好だという。この治療方法の安全性をさらに積み重ねていけば、他の肝臓疾患の治療にも応用できると期待している。

ES細胞から作製した肝細胞を冷凍保存している=国立成育医療研究センター提供

有毒なアンモニアを肝臓で生まれつき分解できない「尿素サイクル異常症」をもった生後6日目の新生児に、ES細胞由来の肝細胞を2019年10月に移植した。移植後、体内でアンモニア値が高くなる異常はみられなくなった。

20年3月に父親の肝臓を移植する手術をした。合併症などは発生せず良好に経過し、すでに退院したという。この治療法を別の患者でも治験し、有効性や安全性を確認していく考えだ。

尿素サイクル異常症は血中のアンモニア値が高くなり嘔吐(おうと)やけいれんを引き起こし、命に関わる場合もある。数千~数万人に1人程度の割合で発症し、国内にはおよそ1000人の患者がいると推定されている。

根本的な治療には肝臓の移植が必要だが、新生児に手術をするのは難しく、体重が6キログラムほどに成長するまで数カ月待たなければならなかった。この期間は食事制限や薬を投与して治療するが、患者に負担がかかるうえ、重い発作が起きるなどの危険もあった。

海外では脳死した人の肝臓から採取した肝細胞を保存して治療に使い、肝臓移植までの期間を安全に過ごせる。日本ではこの治療法は認められておらず、ES細胞からつくった肝細胞を用いる方法が適していると判断した。

治療に当たった笠原群生・臓器移植センター長は「治療の安全性が確認されれば、慢性肝疾患など他の肝臓疾患にもES細胞を用いた再生医療が可能になるだろう」と展望した。

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