ベトナム、EUとFTA批准へ 外資「脱中国」の受け皿に

東南アジア
2020/5/20 17:28
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ベトナムの主力産業の縫製業はEUとのFTAで恩恵を受けそうだ(ホーチミン市)=ロイター

ベトナムの主力産業の縫製業はEUとのFTAで恩恵を受けそうだ(ホーチミン市)=ロイター

【ハノイ=大西智也】ベトナム国会は5月中に欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)を承認する。10年かけて双方の輸出品の99%の関税を撤廃する。衣料品や履物など総輸出の15%程度にとどまるEUへの輸出拡大が見込まれる。新型コロナウイルスの感染拡大による外資系企業の「脱中国」の動きを促し、その受け皿になりそうだ。既にベトナムに進出している日系企業も恩恵を受ける見通しだ。

ベトナム国会は20日に首都ハノイで開幕した。国会の会期は6月18日まで。EUとのFTAは本会議で5月中に承認され、批准される見通し。既にEU側の手続きは完了している。EUとベトナムが相互に通知した後、発効する。EUが東南アジアの国でFTAを結ぶのはシンガポールに次いで2カ国目になる。

発効後にベトナムからEUへの輸出品の71%の関税が、EUからベトナムへの輸出品の65%が即時撤廃される。ベトナムは10年、EUは7年かけて99%の関税を段階的に撤廃する。

ベトナム統計総局によると、2019年はベトナムからEUへは420億ドル(約4兆5000億円)、EUからベトナムへは150億ドル分を輸出している。世界銀行は、ベトナムのFTAの経済効果を「30年までに国内総生産(GDP)を2.4%、輸出を12%それぞれ押し上げる効果がある」と分析している。

ベトナムにとっては総輸出の約2割を占める衣料品や履物の輸出拡大が期待される。ベトナムは現在でもEUの特恵関税の対象国で恩恵を受けているが、FTA発効後は大半の関税が最終的に撤廃される。中国、バングラデシュに次ぐ世界3位の衣料品輸出大国であり、輸出余力も大きい。

日本勢でもユニクロを運営するファーストリテイリングなどがベトナムに提携縫製工場を構えている。自動車部品や機械部品などを欧州に輸出している日系企業も多く、ベトナムでの生産拡大や進出を促しそうだ。

一方、EUは航空機や自動車などの製品をベトナムに輸出している。ベトナムの人口は東南アジア諸国連合(ASEAN)で3番目に多い約9600万人。19年の国民1人当たりのGDPは3500ドル弱になったとみられ、自動車や家電などの耐久消費財が一気に普及する3000ドルを突破。消費市場としての魅力も高まっている。

ベトナム政府は4月23日にハノイ、ホーチミン市などに適用していた不要不急の外出禁止を解除した。東南アジアの主要国で最も早く経済正常化に動いているが、7%成長を続けていた同国の経済成長率は落ち込む見通し。逆風下でのEUへの輸出拡大に期待が大きい。

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