新型コロナ、震災学習に影 活動制限にネット活用も

2020/5/20 9:20
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新型コロナウイルスの感染拡大が、東日本大震災の教訓や被害を学ぶ機会に影響を及ぼしている。長引く休校で、授業時間が減少。被災地訪問は感染予防のため制限される。一方、伝承施設ではインターネットを利用した語り部やガイドを実施する動きも。専門家は「復興教育の歩みを止めてはいけない」と話す。

岩手県釜石市の津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」で、オンラインによる館内ガイドの方法について説明する川崎杏樹さん(右)(14日)=共同

宮城県名取市立第二中では7月、語り部や復興に携わる人を招いた講演会を予定していたが、見通しが立たない。震災学習に充てる総合学習の時間の一部は、一般の教科へ振り替えられる。

瀬成田実教諭(62)は「通常授業が優先され、震災学習の提案がしづらい状況だ」と明かす。「命の大切さを学ぶ貴重な機会。2学期には時間を確保したい」と切実だ。

東京電力福島第1原発事故で各地に避難した福島県立高5校を集約した、ふたば未来学園高(福島県広野町)。復興教育目当てに入学した生徒も多い。臨時休校中もネットを通じ遠隔授業を進めてきたが、復興がテーマの体験学習はフィールドワークが中心。実施のめどは立っていない。

南郷市兵副校長(41)は「廃炉の専門家との座談会など、生徒が考えた計画を始める時期に感染が広がった。影響は計り知れない」と話す。

岩手県釜石市の津波伝承施設「いのちをつなぐ未来館」は13日まで休館したが、オンラインで震災伝承に取り組んだ。市内の小中学生が日ごろの防災教育を生かして津波から逃れた話や、犠牲者が多数出た鵜住居地区防災センターについて、展示を見せながら説明。質疑応答の時間も設ける。

職員の川崎杏樹さん(23)は「こういう状況では、授業で震災や防災教育は省かれやすい。子どもたちの学びを通じて、地域にも防災意識が広がる」。14日の再開後も、5月末までオンライン活動を続ける。将来的には遠隔地の学校向けの利用を視野に入れるが「一番は来てもらい、現地でしか分からないことを感じてほしい」と強調する。

学校教育に詳しい国学院大の田村学教授は「コロナも震災も、予測できないことが起きているのは共通」と指摘。震災の記憶が曖昧な今の児童、生徒に対し「どんな状況でもより良く生きる方法を見つける力を身に付けるため、震災や復興に向き合う総合学習が一層重要だ」とする。〔共同〕

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