マイクロソフト、量子計算で仲間作り 日本の新興と協業

北米
2020/5/20 5:38
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【シリコンバレー=佐藤浩実】米マイクロソフトがクラウドを利用した量子コンピューティングを広げるための仲間作りを進めている。19日に開いた開発者向け会議で、量子計算ソフトを手掛ける日本の新興企業Jij(ジェイアイジェイ)との協業を公表した。クラウドを介して使えるソフトを開発してもらい、2020年後半にも幅広く量子技術を試せる仕組みを整える。

マイクロソフトは量子計算技術のクラウド提供で、日本の新興企業Jijと提携する(写真はマイクロソフトの19年の開発者イベント)

Jijと同社の顧客である豊田通商との協業成果を19日に公開した。量子計算から着想を得たシミュレーション技術を用いて信号機を切り替える最適なタイミングを導くことで、道路上の車両の待ち時間を20%減らせたという。直近では新型コロナウイルスの影響で車の量が減っているものの、中長期的に環境負荷の低減に生かせる可能性がある。

マイクロソフトは2019年11月にクラウドを介して量子技術を提供する「Azure Quantum(アジュール・クォンタム)」と呼ぶ計画を公表し、カナダの1QBitや米ハネウェルなど関連するソフトやハードを扱う企業と協業してきた。マイクロソフトでプロジェクトを統括するジュリー・ラブ氏によると「協業先は70にのぼる」という。

アジュール・クォンタムは現状では、一部の研究機関や企業に限定して使えるようにしている。ただ、ラブ氏は「20年の後半にはパブリックプレビュー(幅広い層への公開)を計画している」と話す。マイクロソフトのクラウドのシェアは米アマゾン・ドット・コムに次いで高いため、多くの研究者や開発者が量子技術に触れやすくなる。

量子コンピューターの世界では、米IBMが自社技術のクラウド提供で先行している。一方でマイクロソフトは自社技術の開発を進めつつ、利用者のすそ野を広げるために様々な関連企業と組む方針を示してきた。アマゾンも同様の戦略をとっている。

コロナの影響で、マイクロソフトは今年の開発者会議をオンラインでの開催に切り替えた。19日はJijとの協業のほか、定型作業を自動化するソフトを扱う英ソフトモーティブの買収を公表。医療機関などヘルスケア産業向けのクラウドサービスをまとめた新製品も発表した。サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は「(コロナを経て)再構築すべきもの、発想し直すべきことを決める転換点にいる」と話した。

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