小学校の9月入学、2案提示 文科省「移行1年か5年」

2020/5/19 22:28 (2020/5/20 5:09更新)
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政府は19日、首相官邸で学校の始業や入学の時期を9月に変える「9月入学」に関する次官級協議を開いた。文部科学省は2021年からの導入を想定した2案を示した。いずれも学年構成や入学年齢にひずみが出るなど課題も多く、政府・与党で議論を続ける。

杉田和博官房副長官が文科や厚生労働、経済産業など関係府省の次官を集めて話し合った。6月上旬までに課題の整理をめざす。

文科省は21年4月に小学校に入学する14年4月2日から15年4月1日に生まれた子どもを例に案をまとめた。9月入学の実現に向け(1)1年で移行するために最初の1学年だけ対象を広げる(2)対象を段階的に変えて5年かけて移行する――の2案を挙げた。

学校教育法は就学時期を「満6歳に達した日の翌日以後の最初の学年の初め」と定める。そこから1年間が小学1年生にあたる。

第1案なら21年9月に一気に制度を移行できるが、21年度の小学1年生は1学年が17カ月分に増える。将来の受験や就職活動で競争相手も増え、不利になりかねない。

1学年を5年間は13カ月分とし、対象を平準化しながら時間をかけて移行するアイデアが第2案にあたる。負担の偏りがなくなる半面、毎年1学年の範囲が変わり、制度としては複雑になる。

移行期は入学遅れに伴う保育園の受け皿づくりや、1学年の人数が増える間、新入生の急増に合わせて教員や施設を多く確保する必要が生じる。

政府・与党は十分な審議や財源の確保が間に合わず、教育現場にも混乱が生じると判断し、今年9月の開始は見送る方針を決めた。21年9月の導入を想定した議論を始めており、政府高官は19日「時間はあまりない」と語った。

慎重論もある。自民党が18日に開いた9月入学に関するワーキングチームの会合に早稲田大の田中愛治総長がオンラインで参加した。

9月入学への移行に伴い、就職が5カ月延びて学生が収入を得られない状況になれば、世論の反発を招く可能性があると説明した。国際化に成功した国の大学は入学と卒業の学期の設け方を柔軟にしていると指摘した。

慶応大の中室牧子教授も就学年齢が高くなると30歳ごろまでの賃金が下がり、生涯賃金が少なくなるとの研究データを示した。できるだけ早く学校を再開し、休校中の学習の遅れを取り戻すことへの公的支援を優先するよう求めた。

自民党内には幼稚園や保育所に通う5歳児の一部を前倒しで小学1年生にする意見もある。12日の党会合で「義務教育の始まりが他国より遅れないよう前倒しを考えられないか」「国際的な学力の比較で優位になりうる」との声があがった。

柴山昌彦前文科相は15日の衆院文科委員会で、入学を5カ月遅らせると未就学児が増え「保育園や幼稚園の負担が非常に大きくなる」と語った。「真にグローバル化を目指すなら半年早めるべきだ」とも訴えた。

公明党も19日、国会内で9月入学に関するプロジェクトチームの会合を開いた。野田義和東大阪市長ら全国市長会のメンバー4人から「拙速に進めるべきではない」などの慎重論が出た。斉藤鉄夫幹事長は「与党の一角としてしっかり意見をまとめたい。子どもを大事にする観点からこの問題を捉える」と述べた。

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