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シャープ社長に野村氏 戴氏と二頭体制で「守り」強化
新型コロナ禍が直撃、業績回復急ぐ

関西
大阪
2020/5/19 18:42
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シャープ社長に就任する野村勝明氏

シャープ社長に就任する野村勝明氏

シャープは19日、野村勝明副社長(63)が6月25日付で社長兼最高執行責任者(COO)に昇格する人事を発表した。戴正呉会長兼社長(68)は会長兼最高経営責任者(CEO)に就く。同社は2016年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、鴻海出身の戴氏が主導する構造改革を進めた。だが同日発表した20年3月期の連結決算は新型コロナウイルスの感染拡大などの影響で大幅減益となった。野村氏と戴氏の二頭体制で業績回復を急ぐ。

「しっかりタッグを組んでもう一度立て直す」。同日の電話会見で野村氏は社長就任の決意を語った。野村氏は現在のシャープ取締役のなかで唯一のシャープ生え抜きだ。グループの液晶パネル工場運営会社の業績を立て直した手腕などを鴻海創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏から買われ、16年にシャープの副社長に就任した。

戴氏は「野村さんは女房役」と評価し、二人三脚でシャープの経営再建に取り組んできた。野村氏は生産の海外移管などを加速させる鴻海流の改革手法を取り入れる役割を担い、労働組合との折衝役も果たした。

シャープは16年3月期に2559億円の巨額の最終赤字に陥った。16年夏に鴻海傘下となり、生産の海外移転など構造改革を進め、18年3月期には最終黒字に転換させた。経理畑が長い野村氏はコスト削減などでも手腕を振るい、成果を上げてきた。

足元では再びその「守り」の手腕が求められている。20年3月期は最終的なもうけを示す純利益が前の期比72%減の209億円だった。新型コロナの感染拡大により中国などにある顧客企業の工場稼働率が低下し、中小型の液晶パネルなどの販売が落ち込んだ。売上高は5%減の2兆2712億円となった。

21年3月期の業績予想は「未定」とした。野村氏は「景気の先行きに不透明感があり、環境は厳しい」と説明した。世界で自動車の生産が落ち込み、車載ディスプレーなどの回復は期待しにくい。主要顧客である米アップルのスマートフォン「iPhone」の生産も20年は前年比4%減少するとの試算もある。

シャープの課題の1つはアップル依存からの脱却だ。19年3月期の連結売上高のうち23%をアップルが占める。ピークだった16年3月期の27%よりは下がったが、依存度はなお高いとみられる。調理機器「ヘルシオ」シリーズなど家電分野ではヒット作を生んでいるが、売り上げ規模の大きい液晶パネル事業の安定化が急務となっている。

足元では、アップルとともにジャパンディスプレイ(JDI)の白山工場(石川県白山市)の共同買収に向けた交渉を続けている。スマホ向け中小型液晶の生産体制を集約して採算を高める一方、既存の亀山工場(三重県亀山市)、三重工場(同多気町)では車載向けやネットであらゆるものがつながるIoT機器などにシフトし、新たな顧客を開拓する狙いが背景にあるようだ。

野村氏はその買収交渉にも関与しているとみられる。経費削減などで経営の守りを固めつつ、生産の再構築で成長シナリオを描けるか。危機の中で難しいかじ取りが求められる。

野村 勝明氏(のむら・かつあき)81年(昭56年)早大理工卒、シャープ入社。10年取締役、12年シャープディスプレイプロダクト(現堺ディスプレイプロダクト)会長、16年シャープ副社長。兵庫県出身。

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