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業績ニュース

IHIの前期純利益7割減 重工3社、資金収支悪化

2020/5/19 22:00
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重工大手3社の2020年3月期の連結決算が19日に出そろった。この日発表したIHIの純利益は前の期比68%減の128億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした自動車向け部品などの販売不振が収益を圧迫している。業績低迷に伴い各社の資金収支も悪化が鮮明だ。IHIでは、本業の収入から設備投資などを引いたフリーキャッシュフロー(FCF)が2年連続でマイナスになった。

IHIの売上高は7%減の1兆3865億円、営業利益は26%減の607億円。自動車向け過給器の販売減や航空機向け新型エンジンの開発費増などが響いた。業績悪化を受け、前期配当は50円(前の期は70円)と従来計画の70円から引き下げた。

発表済みの三菱重工業川崎重工業も苦戦が鮮明だ。三菱重の純利益は21%減の871億円。米ボーイング向け低迷や開発中のスペースジェットの減損処理が響いた。川重も建設機械向けなどが低迷し3割減益だ。

3社で唯一、業績予想を出した三菱重は21年3月期に純利益ゼロを見込む。米ボーイングが4月末に主力機787の減産を決めた影響が出る。川重では、山本克也副社長が「ボーイング向け(の売上高)が3割程度落ち込む可能性がある」との見方を示し、赤字転落のリスクもあるという。

損益以上に悪化が目立つのが資金収支だ。IHIと川重の2社はマイナスだった。IHIでは営業活動で生じるお金を示す営業CFが145億円のプラスと前の期比で約7割減少。この影響でFCFは613億円のマイナスとなった。今後も井手博最高執行責任者(COO)は「エンジンなどの販売が減少し、利益とキャッシュフローへの大幅な影響は不可避だろう」と警戒する。

川重は前期にFCFが848億円のマイナスとなり11年ぶりの低水準だ。関係者によると、ボーイングの信用力引き下げに伴い、本来であれば金融機関に金利手数料を支払い買い取ってもらう債権をうまく現金化できなかったもよう。

三菱重は南アフリカの火力発電事業に伴う和解金を日立製作所から受け取り前期のFCFは12%減にとどまった。ただ今期は一転、4000億円の赤字と過去最大のマイナスを見込む。小沢寿人最高財務責任者(CFO)は「(顧客から前もってもらう)前受け金の取り崩しが増える局面に入るため」とした。

十分な資金を確保できない状態が続くリスクに備え、各社は手元資金拡充に動いている。銀行借り入れやコマーシャルペーパーなどによる資金調達を進め、3月末の現預金はIHIで約1400億円に、川重で1000億円強に増えた。このためIHIだけでなく、川重も20年3月期末に18年ぶりの無配とした。三菱重は前期の年間配当は増やしたが、今期については大幅に減らす方針だ。

足元では企業体力の維持を優先する守りの財務に重点を置かざるを得ない状況になっている。今後は合理化などの対策だけでなく、将来の成長にかかわる開発費や設備投資などを抑制する動きが一段と加速する可能性もある。(南畑竜太)

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