コジマは4月に前年比増、コロナ後の主役は郊外店舗か

日経ビジネス
2020/5/21 2:00
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ビックカメラ傘下のコジマは4月、売り上げが前年同月を超えた

ビックカメラ傘下のコジマは4月、売り上げが前年同月を超えた

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新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令された4月、外出自粛の影響は店舗を営むあらゆる産業に及んだ。ただ、すべての企業が落ち込んだわけではない。同じ業種でも実店舗の売上高への影響は濃淡があり、それは家電量販大手の4月の月次業績からも垣間見える。明暗を分けたのは立地特性だ。

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「郊外立地が多く、昼間の人口が増えたことでマイナスの影響を抑えられた」。ケーズホールディングスの平本忠社長は5月14日に行った電話会見で、足元の売り上げ状況をこう分析した。新店も含む同社の4月の全店売上高は前年同月比1.5%減。既存店も同程度の数字といい、ほぼすべての店で時短営業をしたものの、大きな影響は出なかった。

ケーズはターミナル駅などの都心に店を持たず、地方都市の郊外を中心に展開している。4月、特に好調だった東京や神奈川、千葉では、営業時間を短縮しても売り上げが昨年同月を上回った店舗もある。

「都心に通勤していた人が、家の近くの店舗で買うようになったのではないか」と同社は推測する。パソコン・情報機器が前年同月比7割以上増えるなどテレワーク関連のほか、調理家電も同4.9%上回り、来店客数はほぼ横ばい。自宅にこもった人たちの需要を取り込み、新規の顧客も獲得しているようだ。

ケーズホールディングスは郊外中心の店舗展開で業績は堅調

ケーズホールディングスは郊外中心の店舗展開で業績は堅調

■同業他社も驚く前年比プラス

「企業によって濃淡はあると思ったが、上回ったと聞いてちょっとびっくり」。同業他社がこう漏らしたのが、4月の売り上げが既存店で前年同月比4.8%、全店で同4.5%増えたコジマだ。4月は商業施設に入居する店など最大14店舗が休業し、緊急事態宣言が全国に拡大される前までは約80店舗、その後はほぼすべての店舗が営業時間を短縮したにもかかわらず、売り上げが前年実績を上回った。

コジマはケーズと同様、郊外型の店舗が中心だ。「お客様の住まいの近くにあることを生かしながら、自粛期間の中で変わっていくニーズに応えられた」(コジマ)。4月はテレビが前年同月比34%増(全店)、パソコンが同65.3%増(同)など、巣ごもりやテレワーク需要が顕著だった。

ビジネスパーソンのテレワーク需要に加え、学校でオンライン授業が普及するのに伴い、「子供用の2台目として安価なパソコンなどが売れた」(同社)。5月に入ると「使っていなかった空間を仕事部屋として使うための小さなエアコンなども売れ始めている」(同社)といい、新たな売れ筋商品が出てきている。客数は減っているが、買い上げ率が上がっており、目的買いの顧客のニーズを取り込んだ。

■「都心型」ビックカメラは大幅減

一方、親会社のビックカメラの4月の全店売上高は前年同月より37.9%減った。同社の店舗は都心が中心。3月まで週末に限っていた時短営業を平日に広げたうえ、地域内に複数ある店舗を一部休業。4月30日時点では45店舗のうち18店舗が休業していたことが影響した。都心と郊外の両方に店舗を持つヤマダ電機は月次業績を公表していないが「都心は郊外店舗より落ち込みが大きい」(経営企画室)という。

ドラッグストアでも、売り上げに占める免税(インバウンド)比率が高いマツモトキヨシホールディングス(HD)やココカラファインなどが3月に前年割れした。両社に共通するのは、高いインバウンド比率に加え、首都圏や関西圏の駅前などの都心店が多いこと。ココカラは4月も既存店売上高が前年同月比7.9%減った。一方で郊外型が主力で北陸を地盤とするクスリのアオキホールディングス(3月21日~4月20日)や東海地盤のスギホールディングスは4月も前年同月比2ケタ超だった。

■都心の小売店に客は戻らないか

5月14日に39県で緊急事態宣言が解除され、残る8都道府県でも解除が検討されている。だが感染拡大の第2波、第3波への警戒や、テレワークの浸透で、すぐに都心にコロナ前と同程度の人出が戻るとの予測は少ない。

新型コロナの感染が広がる前まで都心でしていた買い物を、自宅近くで済ませたいという需要はアフターコロナでも続き、「大都市圏にある商業集積の価値や集客力は、コロナ前の状態に戻らない可能性が高い」(JPモルガン証券の村田大郎シニアアナリスト)との指摘もある。

コロナが徐々に収束しても、都心の小売店に客は戻らず、郊外立地の店舗が繁盛する――。小売企業の勢力図が大きく変わるかもしれない。

(日経ビジネス 庄司容子)

[日経ビジネス電子版2020年5月19日の記事を再構成]

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