観光回復、まず地元から 山形県が県民限定割引

2020/5/19 18:50
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山形県は地元の人に宿泊施設を利用してもらう観光支援策を始めた。県民限定で割引クーポンを発行。予約を入れた段階で、県が宿泊施設に前金として料金を支払い、資金繰りを支援するのが特徴だ。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、県境を越える移動は自粛要請が続いている。米沢市なども同様の支援を始めており、まず、地域需要を喚起して少しずつ観光の回復につなげる。

山形県観光物産協会は県の補正成立後1カ月で事業を開始(19日、山形市)

「県民泊まって応援キャンペーン」は15日から受け付けを開始、31日に締め切り抽選したうえで、6月2日からクーポンを送付する。1万円以上の宿泊プランが5000円引きになる。申込者は6カ月以内に予約するが、旅館ホテルには6月中に宿泊人数に応じた前金が支払われる。

3万枚の個人申し込みのほか、6月からは旅行会社で申し込むプランも2万枚扱う。国の臨時交付金が原資で、土産店などが対象の「お出かけキャンペーン」を含め3億6800万円をかける。山形県旅館ホテル生活衛生同業組合の佐藤信幸理事長は「事前に資金が入る制度は画期的」と語る。

米沢市も21日から市民向けに宿泊料金が半額になる支援策を始める。2000万円の予算を事前に宿泊施設の定員に応じて配分し、資金繰りを助ける。大蔵村は県のキャンペーンに応募する人に村内の宿泊施設を選んでもらおうと、1000円を上乗せする「プラス1000キャンペーン」を始めた。

事業を受託した県観光物産協会には各県から問い合わせが相次いでいる。小野真哉専務理事は「観光協会の全国会議で山形方式として報告する。宿泊施設が前向きになるきっかけになれば」と期待する。

ただ、コロナ問題の影響は長期間に及ぶと懸念される。税理士資格を持つ蔵王温泉観光協会の伊藤八右衛門会長は「6月末に資金繰りが厳しくなる宿泊施設が多いとみられ、事前支払いはありがたい」と評価。一方で、「蔵王は県外客が7割。県内需要だけでは限界がある」と語る。

公益財団法人日本交通公社観光政策研究部の山田雄一部長は「割引クーポンは短期的な喚起策で、価格破壊を招くなど副作用もある」と指摘。固定資産税減免などで損失を補うほか、影響が長引く場合は「域外需要に依存しないサービス業、例えば、医療福祉への転換を促すといった対応も必要になる」と話している。

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