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ロシア、中国と相次ぎ大型事業 月面基地やガス供給

中国の習近平国家主席(左)と話すロシアのプーチン大統領(2019年11月、ブラジルで開かれたBRICSサミット)

【モスクワ=石川陽平、北京=羽田野主】ロシアが中国との「戦略的パートナー関係」のさらなる強化に動いている。月面基地建設での協力や天然ガスを中国に輸出する新たなパイプライン計画など宇宙や資源、軍事で大型事業が浮上する。ロシアの「中国シフト」に拍車がかかれば、中ロと米国の対立の構図が鮮明になりかねない。

中ロの月面基地建設での協力は、国営ロシア通信がロケット宇宙部門の情報筋の話として伝えた。2国間の作業グループで検討されており、共同での基地建設や中ロの基地を隣接させる案が出ている。中ロが月面探査で手を組めば、24年までに再び月面に人類を送り、月面基地を建設するという米国の「アルテミス計画」に対抗できる。

宇宙開発の国家機関ロスコスモスは日本経済新聞に「コメントしない」と述べた。ただ、中ロはすでに宇宙協力を定期的に協議し、専門家の間では月面基地も「技術的には十分に実現可能で、どれだけの資金を中ロが投じるかにかかっている」(スコルコボ財団のイワン・コセンコフ氏)との見方が多い。

資源エネルギー分野でもロシアは新たな大型事業を始動させる。国営天然ガス会社のガスプロムが、2本目の中国向けパイプライン「シベリアの力2」の事業化への調査を始めると明らかにした。19年12月に稼働した1本目の「シベリアの力」は年間輸送能力が中国の天然ガス輸入量の約2割にあたる380億立方メートルで、2本目は最大500億立方メートルを見込む。

1本目は総工費が1.1兆ルーブル(約1.6兆円)とされる大型事業だが、ロシアは経済成長に欠かせない次の巨額事業を必要としている。天然ガス価格の回復などを待って中国とガスの供給交渉を始めるとみられ、エネルギー安全保障で協力を広げたい意向だ。

軍事技術協力では、ロシアは敵のミサイル攻撃を探知する早期警戒システムの構築で中国を支援する。プーチン大統領は19年12月に「純粋な防衛システムだ」と説明したが、アジア太平洋での展開力を強化する米軍をけん制する狙いも見える。

ロシアには新型コロナウイルスと原油安の打撃を受けた経済の再建へ向け、成長力の高い中国との協力が不可欠との認識がある。欧州は新型コロナの痛手が中国より大きく、カーネギー財団モスクワセンターのアレクサンドル・ガブエフ氏は「当面は中国とさらに接近する以外に選択肢はない」と分析する。

新型コロナは各国の政治や経済だけでなく国際秩序の行方にも影響を与える。米国は中ロを既存の秩序を覆そうとする「戦略上の競争相手」と警戒しており、新型コロナ後には中ロと米国の対立の様相が色濃くなる可能性がある。

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