豪、中国の大麦関税でWTO提訴も検討 農相や貿易相

2020/5/19 14:10
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中国は豪産大麦に追加関税を課す=ロイター

中国は豪産大麦に追加関税を課す=ロイター

【シドニー=松本史】オーストラリアのリトルプラウド農相は19日、中国が豪産大麦に80%超の追加関税を課したことを受け、世界貿易機関(WTO)への提訴を検討する姿勢を示した。中国は豪州が新型コロナウイルスの感染源や流行拡大を巡る調査を要求したことに反発している。12日には豪産食肉の輸入も一部停止しており、中国から豪州への意趣返しとの見方が強まっている。

リトルプラウド氏は19日、豪テレビのインタビューに答え「我々は(中国からの高関税に関して)WTOに判断を下すよう裁定を求めることも検討する」と語った。

バーミンガム貿易相も同日の記者会見で「まずは他の方法を追求するかもしれないが、WTOに関する権利は(排除せずに)留保する」と述べた。今後、大麦の輸出先を中東やインドネシアなどに多角化する方針も明らかにした。

中国商務省は18日、豪産大麦が不当に安いとして19日から5年間にわたり追加関税を課すと発表した。追加関税は不当廉売分が73.6%、不正補助金分が6.9%の計80.5%。豪外務貿易省によると、中国への大麦輸出は19年、5.9億豪ドル(約400億円)で、豪州の大麦輸出全体の約6割を占める。中国は12日には、豪州の4カ所の食肉工場からの輸入も停止している。

こうした措置の発端と見なされるのが、新型コロナを巡る豪州の独立調査の要求だ。モリソン豪首相は4月23日、発生源や感染拡大を巡り「教訓を学ぶため」独立した調査が必要だと訴えた。自国への批判を警戒する中国は、調査への要求に強く反発している。駐豪の中国大使が豪紙に豪州産農産品のボイコットなどを示唆する発言をしたこともあり、豪州へのけん制だとの指摘が出る。

バーミンガム氏は19日、新型コロナの調査要求と大麦への追加関税について「中国側は関係を否定している」と述べるにとどめた。中国製品への追加関税を検討するか問われると「豪州は貿易戦争には興味がない。我々の貿易政策の主軸は『報復合戦』ではない」と強調、「建設的な対応」を前面に打ち出した。

豪州から中国へのモノとサービスの輸出は19年6月までの1年間で1532億豪ドル。農産品はその約1割を占める。

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