台湾、WHO総会に参加できず 米中対立が協調に影

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2020/5/19 1:47 (2020/5/19 5:22更新)
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台湾はWHO総会への参加を訴えてきた=ロイター

台湾はWHO総会への参加を訴えてきた=ロイター

【ジュネーブ=細川倫太郎、ワシントン=永沢毅】18日からテレビ会議形式で始まった世界保健機関(WHO)の年次総会に、非加盟の台湾のオブザーバー参加はできなくなった。米国は参加支持を訴えた一方、中国が反対姿勢を崩さなかった。総会は新型コロナウイルスの感染防止へ国際協調の糸口を探るチャンスだが、台湾問題を巡る米中の争いが暗い影を落としている。

「2300万人の台湾の人々の健康を犠牲にすべきではない」。18日、総会で演説したアザー米厚生長官はこう強調し、台湾の参加を訴えた。

WHOによると、台湾に招待状を出すには、総会で加盟国の同意が必要となる。日米欧などは新型コロナの封じ込めに成功した台湾の参加を支持し、台湾と国交のある国は参加を求める提案をしていた。一方、台湾は領土の一部という「一つの中国」の原則を掲げる中国は断固として反対。協議が難航するのは避けられない情勢だった。

結局、今回は議論を先送りし、WHOが年内にも開く次回の総会で話し合うことに。ただ、問題解決は難しく、事態打開への展望は見えない。WHOも「加盟国が決める問題だ」として、介入を極力避けている。

総会に先立ち、18日に台北市内で記者会見した台湾の呉●(かねへんにりっとう)燮・外交部長(外相)は、国際的な防疫網の重要性を強調し、「台湾を招かないのは人類の損失でもある」と指摘した。「WHOは国際社会の声に耳を傾け、中国の干渉を排除して中立的に判断すべきだ」と主張した。総会の開会式で中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が演説したが、台湾については言及しなかった。

WHOは政治や人種に関係なく、「すべての人が可能な限りの健康を得る」ことを理念に掲げる。WHOは台湾は専門家会合などに参加しているとし、排除はされていないとの認識を強調してきた。ただ、今回、新型コロナ対策を討議する重要な総会に台湾の参加が見送られたことで、WHOへの風当たりが強まる可能性がある。

ポンペオ米国務長官は18日に出した声明で、WHOのテドロス事務局長は台湾を参加させる権限があるのに「中国の圧力に屈し招待しなかった」と非難。「テドロス氏の独立性の欠如によって、台湾の科学的な知見を今回の総会で共有できない」と断じた。米国が一時的に停止しているWHOへの拠出金の再開の判断にも影響を与えそうだ。

米中は台湾問題だけでなく、新型コロナ対策を巡っても非難の応酬を繰り広げている。米国は中国が初動対応で情報を隠蔽してきたと批判する一方、中国は「ウイルスをうまく制御できていない自らの責任を転嫁している」などと反発する。

世界で新型コロナの感染者は470万人を超え、勢いは衰えていない。ワクチンや治療薬の早期開発には各国の連携や、WHOの調整機能が不可欠になる。米中の対立が長期化し、WHOの指導力が欠如すれば、ウイルスの収束は遠のく。

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