中国、豪州産大麦に関税80・5% 不当廉売と補助金に対抗

【北京=原田逸策、シドニー=松本史】中国商務省は18日、オーストラリアから輸入した大麦の価格が不当に安いなどとして追加関税をかけると発表した。不当な補助金を相殺する関税と合わせて計80.5%を上乗せする。中国はすでに豪州産食肉の輸入も一部停止している。新型コロナウイルスの発生源の調査を求める豪州をけん制するねらいがありそうだ。
19日から5年間にわたり課税する。追加関税のうち不当廉売分が73.6%、不正補助金分が6.9%。国内事業者からの申し立てを受け、2018年11月から不当廉売などの調査をしていた。
大麦はビールの原料などに使われる。豪州から中国への輸出額は19年に5億9千万豪ドル(約400億円)にのぼる。19年は干ばつで輸出が落ちこんだが、17、18年の輸出額は14億豪ドルを超えて牛肉を上回っていた。農産品として主要な対中輸出品といえる。
中豪関係は豪州が中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の次世代高速通信「5G」への参入を禁じたことなどを契機に悪化した。モリソン豪首相が新型コロナの発生源などの独立調査を求めると、5月12日から豪州の4カ所の食肉工場からの対中輸出許可が停止された。今回の反不当廉売の課税も中国による豪州への報復の一環の可能性がある。