コマツ、IoTに活路 前期決算はアジア・北米不振

2020/5/18 19:13
保存
共有
印刷
その他

コマツは18日、2020年3月期の純利益が前の期比40%減の1538億円だったと発表した。インドネシア向け鉱山機械の売れ行きが減速した。さらに北米では新型コロナウイルスの影響で住宅や商業施設の建設が滞り、これに伴って建機の需要が落ち込んだ。販売回復には時間がかかるとみて、IoTを活用したサービスを新たな収益の柱に育てる構えだ。

前期は北米とインドネシアで苦戦した

「インドネシアのマイニングは、さらに落ちる」。18日に電話会議で開いた決算説明会で、小川啓之社長はこんな先行きを示した。前期の業績の足を最も引っ張ったのはインドネシアの鉱山機械だ。インドネシア事業はコマツの売上高のうち5~10%を占めるとみられ、なかでも石炭鉱山を開発する鉱山機械が占める割合が大きい。

同国でコマツ製建機を販売するユナイテッド・トラクターズ(UT)によれば19年のコマツの現地販売台数は2926台で、前年実績を4割下回った。二酸化炭素(CO2)削減を目指す環境規制の強化が影響し、一般炭の価格は18年比で最大4割も下落した。

UTは「当分の間は石炭価格の回復は見込めない」とみて、20年の販売目標を19年並みの2900台としている。17年から18年にかけて新品の需要が旺盛で更新が進んだことも考えれば、今期の新品建機の販売は前期より落ち込みそうだ。

コマツの建機売り上げの25%を占める北米事業も19年までは建機が好調だっただけに、年明けから新型コロナで住宅・商業施設の建設需要が急減速した影響は大きい。

1~3月の北米売上高は前の期比16%減の1381億円。競合する世界最大手の米キャタピラーも1~3月期の北米売上高は3割減と苦しんでいる。小川社長は「北米需要が19年度よりも伸びるとは考えにくい」と語り、厳しい見通しを明らかにした。

建機需要は地域ごとの景気・不景気の波に大きく左右されるが、リーマン・ショック級の世界不況を除けば「どこかが悪ければ、どこかで上向いている」(日本建設機械工業会)ことが一般的だ。今回のコロナ禍では、中国がいち早く上向いた。中国工程機械工業協会の集計によると4月の建機販売台数は4万3千台で過去最高を更新している。ただしコマツの中国シェアは4%(19年)にとどまり、恩恵は少ない。

コマツの業績回復の起爆剤となり得るのは、約20年ぶりに刷新する建設機械の遠隔監視システム「コムトラックス」だ。従来は建機の稼働時間や位置といったデータを1日に1回の頻度で集めていたが、数十秒の間隔へ大幅に短縮する。

この仕組みを使えば資金繰りに困っている中小建設会社が工事の進捗状況を与信材料に使い、資金を調達して資材を購入するようなサービスが普及する余地がある。

このほか自律運転の建機やドローンを使った測量など、データを活用した様々な施工が欧米などで実用化が進んでいる。21年はコマツにとって創立100周年の節目だ。新たな100年に向けた革新が問われている。

(山中博文)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]