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行き場失う農産品や生乳、コロナ禍で在庫膨らむ

新型コロナウイルスによる飲食店の休業や学校給食の中断で、農産品や生乳の一部で供給過剰が続いている。需要が回復しないなかで収穫の最盛期を迎えた農産品は価格の低迷に苦しむ。39県で緊急事態宣言が解除されても感染の「第2波」を恐れ飲食店への客足は戻らず、影響は長期間に及びそうだ。

タマネギ生産量で全国2位の佐賀県。4~5月はちょうど甘みの強い新タマネギの収穫期だが、佐賀県農業協同組合(JAさが)は5月中旬、国に申請し、約1万トン分の出荷を当面、先送りすることを決めた。

生産量の半数以上は飲食店向け。新型コロナの感染拡大による休業で需要が落ち込み、供給過剰で市場の卸売価格は前年比で4割ほど下落したという。同JAの担当者は「せっかくの収穫期だが(調整で)何とか生産者への影響を最小限にしたい」と話す。

14日に39県の緊急事態宣言が解除され、大阪や京都も休業要請を解除するなど、飲食店の営業は再開しつつある。だが、どこも感染の「第2波」を警戒しながらの営業であるうえ、最大消費地の東京都ではなお休業要請が続くなど、新型コロナの感染拡大前の水準には遠い。

給食の中止で乳製品の原料となる生乳の消費底上げも課題だ。農林水産省によると、国内の飲用牛乳などの年間生産量約350万キロリットルのうち、学校給食向けは約1割を占める。3月に休校が全国に広まったため、この給食向けが前年同月と比べ9割近く減った。まだ再開していない学校も多く、需要への影響は続きそうだ。

乳牛は日々搾乳しなければ病気などになりかねず、生産量の調整が難しい。需要が減ればバターや脱脂粉乳に加工して長期保存するが、岩手県のある加工工場の担当者は「4月以降は常にフル稼働で、保存用の倉庫も新たに借りなければいけない。在庫は積み上がるばかりだ」と明かす。

酪農家と乳業会社の間で需給を調整する指定団体、ホクレン農業協同組合連合会(札幌市)は12日、「#COW(カウ)エール」と題した企画を始めた。SNS(交流サイト)で消費者に牛乳を飲む姿などを撮った写真の投稿を呼びかけ、1万投稿ごとに10万円相当の牛乳や乳製品を医療従事者らに支援物資として送付するという。担当者は「社会の関心を高め、消費につなげたい」と狙いを話す。

3月中旬から給食や料亭向けで余った食材を一般消費者にインターネット販売してきた食文化(東京・中央)の萩原章史社長は「農水産品の生産はすぐに調整できるものではない。フードロスを防ぐには広く販路を用意し、とにかく食べてもらうきっかけをつくるしかない」と話す。

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