日医工、フサン・アビガンを生産 コロナ治療薬に注力

2020/5/18 17:42
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後発薬大手の日医工が「コロナ治療薬」に力を入れる。新型コロナウイルスの治療に効果があると期待されるフサンを約40億円を投じて増産するほか、8月にはアビガンの受託生産も始める。収益をけん引してきた後発薬は国内の使用割合が80%に迫り、飽和が近づいている。世界的な需要の増加が見込めるコロナ治療薬の事業体制を急ピッチで整備する。

日医工が受託生産を始める「アビガン」

「フサンとアビガンを併用することで新型コロナの治療効果を高められると期待している」。同社の田村友一社長は18日の記者会見で話した。

急性膵炎(すいえん)薬のフサンはウイルスの細胞への侵入抑制、抗インフルエンザ薬「アビガン」は細胞内での増殖抑制効果があると考えられている。東京大学はフサンとアビガンを併用する臨床研究を進めている。田村社長はフサンがコロナ治療薬として承認される時期の見通しについてはコメントを避けたが、需要の広がりを想定した生産体制を敷く。

フサンの生産能力は現在の5倍にあたる年産300万本に高める。愛知工場(愛知県春日井市)に同200万本の設備を設け、年内にも自社生産を始める。現在は日本たばこ産業(JT)子会社の鳥居薬品に全量を委託しており、年間約60万~70万本を作っている。

8月にはアビガンの受託生産を始め、アビガンを開発した製薬会社を傘下に持つ富士フイルムに供給する。生産は米食品医薬品局(FDA)から米国向けの医薬品製造許可の取得準備を進めている静岡工場(静岡県富士市)が担う。田村社長は「海外から受託生産の要望が来たら、静岡から輸出できるようにしたい」と意気込む。

同社の売上高の8割を占める国内の後発薬市場には逆風が吹く。政府は国内で流通する医薬品に占める後発薬の数量シェアの目標を80%と定めている。20年度中には到達する見通しだ。

同社は「大型薬の相次ぐ特許切れで今後も成長できる」とみている。ただ、隔年だった薬価改定は21年度から毎年実施され、薬価の引き下げ圧力も高まる見通しだ。

フサンとアビガンの業績への貢献度はまだ明らかではないが、18日時点の同社の株価は3月13日につけた年初来安値から57%上昇。同じ期間に21%上昇した日経平均を大きく上回る。新型コロナの治療薬候補を2つ手掛ける製薬会社は世界的にも珍しく、市場の注目が集まる。(伊地知将史)

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