マレーシア、国会わずか1日で閉会 首相が不信任案封じか

2020/5/18 17:35
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【シンガポール=中野貴司】マレーシアで18日、ムヒディン首相の3月就任後に初めて開かれた連邦議会下院がわずか1日で閉会した。政権は「新型コロナウイルスを完全に封じ込められていないため」と説明したが、マハティール前首相が提案する首相不信任案の採決を回避したと見られる。総選挙を経ずに政権を樹立したムヒディン氏とマハティール氏の政治闘争が収まっていない。

ムヒディン首相は自らへの不信任案の採決を阻止するため、国会を1日で閉会する奇策を採った=ロイター

18日午前に開会した下院は国王による開会式を実施しただけで、短時間で閉会した。アリフ・ユソフ下院議長は5月初旬、マハティール氏の首相不信任決議案の提出を認める意向を示していたが、審議されなかった。

ムヒディン氏の勢力は下院(222議席)の過半数をわずかに上回るにすぎない。数人の議員がマハティール氏側につくだけで不信任案が可決する可能性があった。

ムヒディン氏は2018年の総選挙で敗北した勢力と組んで首相に就いた。権力闘争に敗れたマハティール氏は「ムヒディン氏の首相就任は合法的だったと思わない」と批判する。「首相が過半数の議員の支持を得ているか確かめる必要がある」として、不信任案の採決を強く求めている。

不信任案は次に国会が開かれる見通しの7月に審議される可能性がまだ残っている。権力基盤が脆弱なムヒディン氏は常に倒閣のリスクにさらされながら政権運営を続けることになる。

政治闘争の影響は司法にも及ぶ懸念がある。マレーシア検察当局は14日、ナジブ元首相の義理の息子で映画プロデューサーのリザ・アジズ被告に対する起訴を取り下げた。同氏は政府系ファンド「1MDB」の巨額汚職事件の中心人物の一人で、マネーロンダリング(資金洗浄)の罪に問われていた。

ナジブ氏が属する統一マレー国民組織(UMNO)はムヒディン政権を支える中核政党だ。ムヒディン氏がナジブ政権時代に起きた1MDB事件の責任追及をうやむやにするのではないかとの臆測も飛び交う。

マハティール氏やアンワル元副首相は17日、「他の政治家もリザ被告と同様に釈放される懸念がある」と検察の決定を批判した。ナジブ氏自身も1MDB事件で背任や資金洗浄の罪で起訴されている。今後の公判の行方次第では三権分立が揺らぎかねない。

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