10万円給付金を巡る疑問解決 まだ?なぜ?いかに?
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2020/5/19 2:00
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間違いが多発しているチェック欄

間違いが多発しているチェック欄

「隣町では入金済みなのにウチには申請書さえ届かない」「夫でなく妻の自分の口座に入れてほしい」――。コロナ禍に苦しむ家計の今最大の関心事、10万円の特別定額給付金。マイナンバーカードにまつわる不便から世帯単位への反発まで、様々な論点を巻き込んで噴出する疑問と疑念に答える。

■疑問(1)~ウチには一体いつ届く?

答えは「全ては自治体の作業次第」。申請を受けて入金する流れだが、全国1741市区町村がそれぞれオンライン、郵送の2種類で申請を受け付ける(一部例外あり)。今はこの段階で両方受け付け開始済み、どちらかが開始、両方まだ、の4パターンがある。その後さらに、入金まで進んでいるか否かで枝分かれする。申請の受付については18日時点でオンラインで9割超、郵送で7割が始めているが、両方ともまだという自治体も約20存在する。かと思うと既に給付まで進んだ自治体も773と約4割ある。青森県八戸市や東京都江戸川区、茨城県つくば市などの住民から入金確認のSNS報告が相次ぐ。

自分の住む自治体の申請開始状態については総務省の特別定額給付金サイトから確認できる。一方、給付状態については各自治体のホームページで確認しよう。大まかに「順次給付していきます」という書き方のところもあれば、大阪市のように今後の入金に至るスケジュールを詳しめにアップしているところもある。偽サイトには要注意だ。自治体ホームページは末尾が「.jp」が通常だから「.tk」「.ml」などの場合は怪しい。

■疑問(2)~オンラインと郵送、どちらが早く入金される?

まずは既に手元にICチップを搭載したマイナンバーカードがあることが大前提。その数およそ日本に住む6人に1人。かつ世帯主であればオンライン申請も選択肢だが、前回の記事(マイナンバーカード、「密」を生んだミスマッチ)でも書いた通りカードを正しく読み込む機器を持ち暗証番号を覚えていなければ始まらない。

その条件をクリアしている場合でも郵送より入金が早いかは微妙だ。自治体によってはオンライン申請の方が届いてからのチェックに時間がかかるという事態も発生している。

原因は手作業での間違い潰しだ。郵送は送るまでの時間はかかるが、申請書の必要事項はあらかじめ印字済みで返信受領後の役所の作業は比較的スムーズに進む。一方、オンライン申請は個人が自分で必要事項を埋める過程で世帯構成員を間違って記入するなどの不備も多いという。自治体がわざわざ電話などで確認作業をする予期せぬ手間が掛かっており、支給開始が6月以降にずれ込むこともありそうだ。喫緊でない場合は慌てずに手続き分散に協力したいが、期限もある。申請は3カ月以内。起算日は郵送方式による申請受付開始日であって自分の手元に届いてから3カ月ではないから要注意だ。

■疑問(3)~チェック欄、チェックを入れたらもらえない?

上記のような下手な川柳のような事態も発生している。原因は郵送用の申請書上の給付対象者である世帯構成員の名前の横に設けられたチェックボックスだ。「給付金の受給を希望されない方はチェック欄に×印を記入して下さい」とある。×を入れるのはあくまで「希望しない人」だ。ところが確認用チェックのイメージからか、希望者が間違ってここに×を入れる例が相次いでいるという。

SNS上では「もらうために出す申請書に希望しない選択肢があるとは思わない」という声が多く「わざと給付額を減らす陰謀」までささやかれるが、これは給付対象が個々人であるにもかかわらず入金を世帯主にまとめたことに対応する選択肢だ。例えば自分はもらうが一緒に暮らす高齢の親が辞退するケースではここをチェックする。

■疑問(4)~DVじゃなきゃダメですか?

今回例外的に世帯主でなく個人で受給できるのがドメスティックバイオレンス(DV)の被害者だ。申請書を提出してその旨を自治体に伝えるが、対象者は法律に基づく保護命令が出ていたり婦人相談所からの証明書があったり、いわば「正式に避難済み」の人だけ。住所は移していないが実家に帰っているとか、同居しながら耐えているような人に給付される10万円も自動的に世帯主口座に振り込まれてしまう。

DVの有無にかかわらず、夫口座にまとめられる妻の違和感は強い。自分もその一人。ツイッターでは「#世帯主ではなく個人に給付して」がにぎわっている。問題の根は「世帯主」という曖昧な概念にある。実際は今では住民基本台帳上の届け出義務者という事務的な存在にすぎず男女の区別はない。にもかかわらず「大黒柱の夫と支える妻」のイメージを引きずったまま「社会通念上」の言葉に縛られて男性が大多数のまま。この違和感もコロナ騒動の副産物の一つかもしれない。

■疑問(5)~なぜ今廃止? マイナンバー通知カード

ICチップ搭載のマイナンバーカードの取得率はまだ16%台だが、国民全員に配布済みなのがマイナンバーの「通知カード」だ。4年半前に郵送された縦長のはがき状のもの。金融機関での口座開設時などに運転免許書などと併せて自分のマイナンバーを証明する書類として使われてきた。通知カードの下半分についているのがマイナンバーカードの交付申請書だ。ここのQRコードを読み取ってスマートフォンなどからカードの申請が可能。最近このはがきを探し出して申請した人も多いだろう。

5月25日に通知カードは廃止され新規発行や再発行、住所氏名の書き換えが出来なくなる。マイナンバーカードへの移行を促すため以前から決まっていた日程で、記載に変更がないものは引き続きマイナンバーの証明としての利用が可能というが、何といってもタイミングが最悪。ただでも給付金申請に向けてマイナンバーカード取得が殺到する中、両者を混同した人からの問い合わせで自治体窓口は混乱の度を増している。

山本由里(やまもと・ゆり)


1993年日本経済新聞社入社。証券部、テレビ東京、日経ヴェリタスなど「お金周り」の担当が長い。2020年1月からマネー編集センターのマネー・エディター。「1円単位の節約から1兆円単位のマーケットまで」をキャッチフレーズに幅広くカバーする。

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