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がんから復帰の阪神・原口 捕手で出場に思い強く

プロ野球阪神の原口文仁(28)は2019年6月、大腸がんから1軍復帰した直後にサヨナラ打を放ち、多くの人の心を揺さぶった。今季は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、事情は違えど2年連続で試合ができない時間を過ごす。それでも原口はオンライン取材で「充実した時間を過ごせている」と、甲子園球場で自主練習ができる環境を整えてくれた球団への感謝を口にした。

自主練習を「レベルアップの期間」と位置づけ、捕手としての技量アップに重点的に取り組む。今季は代打の切り札だけではなく、捕手として活躍する姿もファンに披露して大腸がんからの帰還物語の第2章を紡ぐつもりだ。

オンライン取材に応じる阪神・原口

19年は激動の1年だった。1月に大腸がんを公表。入院と手術を経て、6月4日に1軍復帰を果たした。同日のロッテ戦、代打で登場したシーズン初打席で適時二塁打を放ち、ファンやチームメートをあっと驚かせた。5日後(6月9日)の日本ハム戦では本拠地・甲子園で代打サヨナラ打。矢野燿大監督を男泣きさせた。最後の1人を選ぶプラスワン投票で選出された球宴でも2試合連続で本塁打を放った。

ファンに強い印象を与えたカムバックだったが、本人は現状に決して満足はしていない。原口の強みは182センチ、93キロの大きな体を生かしたパワフルで勝負強い打撃だ。16年に11本塁打を放って頭角を現すと、18年には桧山進次郎に並ぶ代打でのシーズン23安打の球団記録をマーク。川藤幸三、八木裕、桧山と連なる阪神の「代打の切り札」の系譜を継いでいくのかが注目されている。

甲子園球場で自主練習する原口(8日)=阪神球団提供

ただ、本人は捕手としての出場に強い思いを抱く。「キャッチャーとしてスタメンで出て、フルでマスクをかぶってチームが勝ったときは打った打たないに関係なく喜びがある。そこにやりがいを感じる」。4月中旬から始まった自主練習では「キャッチャーとしての課題に取り組んでいる」と言い、ブロッキング(ワンバウンドを止める技術)やスローイングなどのレベルアップに汗を流している。

阪神では昨季129試合に出場した梅野隆太郎(28)が正捕手の座を不動のものにした観がある。昨季はシーズン123補殺と捕手のプロ野球最多記録を樹立。盗塁阻止率も小林誠司(巨人)の4割1分9厘に次ぐリーグ2位の3割7分を誇り、2年連続でゴールデングラブ賞に輝いた。打撃でも矢野監督の信頼は厚く、昨季序盤は打撃好調で5番に起用されたこともあり、自己最高の打率2割6分6厘を記録。2年連続で規定打席を突破した。

対する原口は昨季43試合に出場。このうち、捕手としてのスタメン出場は同期入団で盟友の右腕、秋山拓巳(29)が先発した試合を中心に7試合にとどまった。秋山は「(原口は)体が大きく、構え方もでかいので投げやすい。リードも自分主導にならずに意見を聞いてくれる」と捕手としての原口の資質を評価するが、梅野の壁はやはり高い。矢野監督も昨季、代打や一塁手のほか、交流戦では指名打者で起用するケースが多かった。

代打の切り札にとどまることなく、さらなる高みを見据える原口=阪神球団提供

それでも「自分は(がんなどの病気で苦しむ人々に)発信する立場になった」という自負が、さらなる高みを見据えさせるのだろう。大病と闘う人々に希望を与える存在であり続けるには、一層の活躍が欠かせない。捕手としての出場機会の増加は発信力の強化にもつながる。自主練習の期間で捕手としてのスキルを少しでも高め、梅野の牙城を崩したいところだ。

外出自粛の期間は、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など過去の野球の名勝負の動画をみるなどして過ごした。とくに印象に残ったのは03年に阪神がリーグ優勝を決めた試合の映像。「甲子園にあれだけのお客さんが来て、満員の中で野球をやっているシーンを久しぶりにみてすごく興奮した。今季優勝して、あの興奮を味わいたい」と気持ちを新たにした。

05年以来となるリーグ優勝に向け、「開幕したら最高のスタートが切れるように準備しておきたい」。今季は捕手としてもチームに貢献し、病気になる前よりもひとまわり成長した姿をファンにみせたいと意気込む。

(田村城)

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