関西地銀、今期与信費用2.7倍に コロナ追い打ち

2020/5/15 21:12
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池田泉州HDの鵜川淳社長は新型コロナの影響長期化を警戒する(15日、大阪市)

池田泉州HDの鵜川淳社長は新型コロナの影響長期化を警戒する(15日、大阪市)

新型コロナウイルスの感染拡大が、超低金利に苦しむ関西地銀に追い打ちをかけている。15日までに決算を発表した5社が2021年3月期に見積もる与信費用(銀行単体)は合計で約330億円と前期の2.7倍に達する。利ざやの改善が見込みづらいなか、業績への影響は大きく、当期利益は34%減少する見通しだ。訪日外国人への依存が高い関西経済の停滞は長期化の恐れがあり、与信費用は一段と増えるとの指摘もある。

「(与信費用は)巡航速度20億円に対し、6倍以上の125億円を見積もった」。関西みらいフィナンシャルグループ(FG)の菅哲哉社長は、傘下行の今期の与信費用をこう説明した。

当初は飲食や宿泊が中心だった新型コロナ関連の融資相談は、状況が深刻化するにつれて小売りや卸売りにも拡大。緊急事態宣言や休業要請を受けて資金繰りに悩む企業は業種全般に広がった。

紀陽銀行は前期の30倍の54億円を見積もる。過去には10年3月期が55億円だった。「ほぼリーマン・ショックと同等のレベル」と原口裕之常務執行役員は説明する。コロナ関連の融資相談は直近で2500件にのぼり、うち500件で270億円の融資を実行した。

滋賀銀行は前期の2倍の60億円以上を見込む。新型コロナ関連の融資は4月末までに2274件、1954億円の申し込みがあった。業種別の割合(件数ベース)は建設、飲食、その他小売り、その他サービスがそれぞれ10~15%だった。「リーマン・ショック時と比べて影響が全業種にわたり、中小零細、個人事業主まで裾野が広い」と西藤崇浩常務は指摘する。

池田泉州ホールディングス(HD)は傘下の池田泉州銀行の与信費用を前期比58%増の40億円と見積もった。鵜川淳社長は「通常の2倍をみているが、先々によっては変更する可能性がある」との認識を示した。京都銀行は前期の2.9倍の50億円を見込む。

東京商工リサーチ関西支社によると、近畿2府4県の倒産件数(負債額1千万円以上)は直近では09年度の4050件をピークに16年度の2057件まで減少が続いた。18年3月期の関西地銀5社の与信費用は合計で11億円だった。

顧客が苦境に陥る中、各行は「地域金融機関の真価が問われるタイミング」とみて、資金繰り相談などに万全の体制で臨む。だが、顧客の経営状況や将来性を見極めて判断しなければ、新たな貸し倒れリスクを抱え込むことになりかねず、目利き力が問われる。

金融市場が不安定で有価証券運用関連の利益は見込みにくいほか、「顧客に足を運びづらく、日ごろの会話から課題や需要をつかんでコンサルティングにつなぐ業務も滞っている」(地銀関係者)。南都銀行を除く関西主要地銀5社の今期の当期利益は計364億円の見込みで、過去5年の実績と比べても低調だ。

直近までの関西経済は訪日外国人がけん引してきた側面が強い。緊急事態宣言や休業要請の解除が進むが、ただちに訪日外国人が戻るとは考えづらい。立命館大学経営学部の播磨谷浩三教授は「他地域に比べ関西経済の回復は大幅に遅れかねない」とみる。

「来期(22年3月期)も同水準の与信コストが必要になるだろう」(滋賀銀の西藤常務)。各金融機関が長期的な影響を覚悟する中、播磨谷教授は「想定以上に企業経営が悪化し、住宅ローンでも大きな影響が出かねない」と危惧している。

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