9月入学「今年度は17カ月」案浮上 入試・費用負担など論点

2020/5/15 20:52 (2020/5/16 0:40更新)
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政府・与党による9月入学の検討が2021年以降の導入をにらんで進むことが明らかになった。現在の議論では、学校の始業や入学の時期を5カ月遅らせる案が浮上している。21年9月から開始した場合、延長期間を合わせて1学年が17カ月になる。

いかに学年の区切りをつけ、入試の予定はどう組み立てるのか。費用負担のあり方も含めた議論の行方が注目される。

政府は15日、文部科学省や厚生労働省、経済産業省など関係省庁の幹部会合を開き、9月入学導入に向けた課題について意見を交わした。入学時期の移行の進め方など、過去に秋入学を検討した際に持ち上がった論点などについて議論した。

9月入学を巡っては、今年4月に入学した生徒らの進級や卒業を5カ月遅らせ、各学年とも1学年を17カ月とする案などが議論されている。文科省幹部によると、政府が一斉休校を要請した直後の3月から様々なシミュレーションを始めた。

21年に9月入学が導入された場合の行程を、現行の大学入試や高校行事の日程などに基づいて組み立てると、例年9月から12月にかけて実施されているAO・推薦入試は、21年2月から3月ごろまでに移る。

年明けの大学入学共通テスト(20年までは大学入試センター試験)や大学の個別試験は春以降に変更されることになる。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校で、生徒や保護者の間では、地域や学校による授業日数の違いで生じる学習進度のばらつきを不安がる声が根強い。9月入学に移行するまでの5カ月間には受験への準備期間を補う効果が期待される。

自民党は月内にも政府への提言をまとめる。14日の会合では、議員から「新型コロナウイルスという危機時に決めなければいつまでも変えられない」との声が上がった。

別の議員は「日本がグローバル化に対応する象徴にすべきだ。教育界や経済界を含め、世論のうねりを起こそう」と呼び掛けた。

移行までの5カ月間が生む課題も指摘されている。小学校入学を9月にずらせば、義務教育の開始が7歳5カ月からとなる子どもが出てくる。世界的にも異例の遅さで、国際的な学力比較の面で懸念の声がある。

21年9月に入学する小1は、20年度中に6歳になる子に21年4~8月に6歳になる子も加わり、通常の約1.4倍の人数になる。教室や教員の確保が必要になる上、幼稚園や保育園の在籍期間が長引き、待機児童を増やす事態も招きかねない。

この5カ月間に生じる費用を誰が負担するかという問題もある。文科省は15日の衆院文科委員会で、小学生から高校生までの子どもを持つ家庭の追加負担の総額が、2兆5千億円に上るとの試算を明らかにした。

公立小学校の校長が参加する全国連合小学校長会は14日、十分に時間をかけた検討を求める意見書を文科省に提出。「学校再開時の課題解決や第2波への体制づくりと並行して議論すべき内容ではない」と訴えた。

教育学者でつくる日本教育学会も既に慎重な議論を求める声明を発表している。制度の長所と課題を丁寧に検討し、社会の幅広い理解を得られる結論を導き出すことが求められている。

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