宣言解除見送りの埼玉県 自粛要請継続、数値目標出さず

2020/5/15 19:58
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埼玉県新型コロナウイルス対策本部会議後、記者会見する大野元裕知事(15日、埼玉県庁)

埼玉県新型コロナウイルス対策本部会議後、記者会見する大野元裕知事(15日、埼玉県庁)

新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言が39県で解除される中、埼玉県では解除が見送りとなった。県内の感染者数の増加ペースはある程度抑制されているものの、大野元裕知事は「楽観視できる状況にはない」として、県民への外出自粛要請や各業種への休業要請を基本的に継続する。一方で休業要請の解除・緩和を見据えた出口戦略の具現化にも乗り出した。

「埼玉など8都道府県は引き続き緊急事態宣言が継続する。県民や事業者には協力をお願いしたい」。大野元裕知事は15日に開いた県の新型コロナ対策本部会議でこう述べ、県として引き続き外出自粛要請、休業要請など感染防止対策を徹底する考えを示した。

同県では3月下旬から新型コロナの感染者数が急増し始めた。4月7日の政府の緊急事態宣言を発令後は、東京都、神奈川県、千葉県とともに首都圏全体で感染拡大の抑制に取り組んできた。

4月中旬には1日当たりの感染確認者の数が60人を超え、感染者を受け入れる医療機関の病床が逼迫するなど深刻な状況となった。4月下旬には軽症と判断したはずの自宅療養中の陽性患者2人が死亡し、県は主に重症者向けの病床や軽症者を収容する宿泊施設の確保を急いだ。

県による自粛要請の効果は大型連休直前に現れ始めた。県内の14日現在の累計感染者数は977人だが、大型連休明けの1日当たりの感染確認者数は1桁台の日も多くなった。

県は感染者数の増加ペースが一服したことを受け、緊急事態宣言の解除後を見据えた「出口戦略」の構想を打ち出した。その基本的考え方を示したのが「彩の国『新しい生活様式』安心宣言」というガイドラインだ。県は各業界団体に感染防止策の策定を依頼し、順守を約束した事業者に「安全」のお墨付きを与える。大野知事は「ウイルスと付き合いながら社会的機能を回復する時期に来た」と説明した。

政府は21日にも、残る8都道府県の宣言解除の可否を検討する方針だが、県は政府方針にかかわらず、独自に外出自粛や休業要請の緩和・解除を判断する。ただ、県は大阪府のような解除に向けた数値目標は公表していない。「陽性率や病床使用率、感染経路不明者の割合などを総合的に勘案して判断する」と、解除の是非は慎重に見極める考えだ。

県は15日の対策会議に向け、美術館や博物館などの一部施設で休業要請措置を緩和できないか検討した。結果は、県内の図書館で事前予約による図書貸し出しを一部容認するだけにとどまった。

大野知事は「これからは人と人との接触機会を減らす段階から、接触しても感染しない仕組みの構築が必要になる。社会活動を一刻も早く正常化できるよう準備したい」と述べた。感染「第2波」到来の懸念もある中、県は自粛要請を継続させつつ、明確な出口戦略を整えるという難しいかじ取りを迫られそうだ。

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