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中国、生産・投資がプラス転換 4月、雇用維持めざす

サービス不振、失業率上昇

【北京=原田逸策】中国経済の回復を生産と投資がけん引している。2020年4月は新型コロナウイルスの感染拡大以降で初めて、工業生産と固定資産投資が前年同月比でプラスに転じた。雇用を守るため、政府主導で生産や工事の再開を急いだ。ただ、雇用や所得の不安は解消されず、消費は弱いまま。今後は外需が急減する恐れがあり、このまま回復軌道をたどるかは見通せない。

商業施設の人出はまだ平年並みに戻っていない(5月上旬、北京市)

「4月は主な経済指標で前向きな変化があった」。国家統計局の劉愛華報道官は15日の記者会見で明るい表情だった。

工業生産が3月の前年同月比1.1%減から4月は同3.9%増と4カ月ぶりにプラスに転じた。在宅勤務で需要が拡大したパソコン(同26%増)や政府が国産化の旗を振る集積回路(同29%増)がけん引した。自動車が3月の43%減から4月は5%増に急回復したのも全体を押し上げた。

鋼材やセメントの生産が増加したのは、公共工事の拡大を裏づける。固定資産投資は1~4月の累計で前年同期比10.3%減だが、みずほ総合研究所の試算では4月単月では同0.7%増えた。三浦祐介主任研究員は「不動産開発だけでなく、インフラ投資もプラスに転じたのが大きい」と話す。中国国務院(政府)は3月下旬、大型工事を急いで再開するよう地方政府に呼びかけた。

政府の狙いは雇用の回復、維持だ。中国共産党は4月の指導部会議で「6つの保持」という新たな方針を決めたが、最優先事項が「雇用の保持」だ。農村から都市への出稼ぎ労働者は、2月末に1億2千万人と19年末より5千万人も減ったが「4月末は平年の9割前後まで回復した」(劉氏)。仕事がみつかり、都会に出る人が増えた。

ただ雇用回復は道なかばだ。4月の失業率は6%と3月より0.1ポイント上昇し、16~24歳の失業率は3月より0.5ポイント高い13.8%だった。残業が増えず、4月の労働時間は週44.3時間と3月より0.5時間短くなった。4月の都市部の新規雇用者も125万人と前年同月より7%少ない。

雇用が低迷したのは、政府のテコ入れが効きにくいサービス産業の就業者が増えているためだ。サービス産業就業者の比率は46%で、製造業や建設業など第2次産業の1.7倍。4月のサービス業の生産活動指数は前年同月比4.5%減と回復が鈍かった。中小零細企業の現状を調べた国務院関係者は「政策が現場に届いていない」と嘆く。

雇用不安は内需の回復を妨げる。4月の小売売上高(社会消費品小売総額)は前年同月比7.5%減と依然として水面下だ。とくに就業者が多いレストランの売上高は同31%も減った。5月初めの連休の旅行収入も前年同期より60%減った。

西南財経大学の2~3月の調査によると、コロナで「収入がすごく減った」と答えたのは、世帯年収100万元(約1500万円)以上では7%だったが、5~10万元では17%、5万元以下では34%。消費回復には時間がかかる恐れがある。

今後は外需が急減しかねない。4月の輸出は事前予想を裏切って増加したが、一部のエコノミストは税関総署が毎月公表する、貨物を運ぶ船・飛行機・車・鉄道が国境をまたぐ回数に注目する。1~2月は前年同期比41%減、3月54%減、4月63%減と大きく落ちこみ、月を追うごとにマイナス幅が広がる。飛行機の減り幅が大きい。

税関は通過すれば輸出にカウントされるが、実際には荷物は運ばれていない。「とくに航空便はコロナの防疫作業で運賃が高騰しており、荷物が港の倉庫に留め置かれている」(広発証券)。倉庫がいっぱいになれば通関する貨物も減り、輸出にも響きかねない。

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