J-REITの勝ち組を探す コロナショックで二極化進む
物流、住宅系に投資妙味あり

日経マネー特集
REIT
日経マネー
(2/2ページ)
2020/5/30 2:00
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【商業系】国や自治体の要請内容次第で収益環境は大きく変わりそう

商業系REITは厳しい局面にある。コロナ禍における外出自粛要請で、商業施設の客数は激減。商業系ではオフィスや住宅に比べて入れ替わりが激しいだけに、テナントの経営状況の悪化は稼働率の悪化と賃料減額に直結しやすい。SMBC日興証券の鳥井さんは、「特に飲食店が主なテナントの物件は厳しいだろう」と指摘する。

ただ、収益悪化懸念が過度に警戒されている可能性もある。というのも、国や自治体がテナントオーナーに対して行う要請内容が現時点では不透明なためだ。

アイビー総研の関さんは、「要請内容が賃料の支払い猶予か、それとも減額・減免かでは大きな違いが出る」と話す。支払い猶予であれば賃料はいずれ振り込まれるため、収益の期ずれが生じる程度で済むが、減額か減免だと収益への影響は長期間に及ぶ可能性がある。この点を見極めた上で投資判断をした方がよさそうだ。

保有物件の中身も重要になる。大和証券の大村さんは、「コロナ禍でも需要がある生活必需品を売るスーパーを主力テナントに持つ銘柄の減配リスクは比較的小さいが、ブランドショップなども抱えるモール系銘柄は厳しくなる」と話す。外出自粛が長期化すれば、この差はさらに広がりそうだ。

株式での自社株買いに当たる自己投資口取得の動きもある。日本リテールファンド投資法人(8953)のような大型REITが行う傾向があり、投資口価格を下支えする要因にはなりそうだ。

【ホテル系】利回り10%超も登場 減配覚悟で長期保有も?

ホテル系REITには激しい逆風が吹き付けている。コロナ禍以前から都市部物件の過剰供給懸念があったところに、コロナ禍によるインバウンド(訪日外国人)の激減が直撃した。インバウンドの急回復が見込めない中、ホテル系では分配金予想を非開示にしたり、大幅減配に踏み切ったりする動きが相次いでいる。ホテル系の復活の目はあるのか。

市場関係者の見立ては意外にもそこまで悲観的ではない。まず、業績悪化と分配金の減額はかなり投資口価格に織り込まれたという点だ。「コロナ禍の収束が見えないため短期での本格的回復は望めないが、一度収束すれば大きなリバウンドはあり得る」(SMBC日興証券の鳥井さん)との指摘もある。

利回りが10%以上の銘柄も登場するなど、割安感も際立ってきた。アイビー総研の関さんは、「仮にその程度の利回り水準であれば、分配金が3割減っても利回りは7%と考えることも可能だ。減配を容認して長期保有する手はある」と話す。

インバウンドに対する期待も根強い。大和証券の大村さんは、「東京五輪が予定通り2021年に開催されるなら、インバウンドの回復はあり得る」と話す。この場合、東京都心部のビジネスホテルを多く保有する銘柄で戻りは大きくなるとの指摘もあった。

とはいえ、現状ではコロナ禍が早期に収束する兆しはない。投資するなら減配と値下がり覚悟の長期目線ということになりそうだ。

(川路洋助)

[日経マネー2020年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年7月号 アフターコロナの勝ち組日本株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP
価格 : 750円 (税込み)

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