雇用も売上高も半減 米外食や小売り、コロナの打撃深刻

2020/5/15 4:04 (2020/5/15 5:12更新)
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【ニューヨーク=後藤達也】新型コロナウイルスの米企業への打撃の実態がみえてきた。外食、ホテル、小売りなどは4月に全米で従業員が半分近くに急減。市場予想では売上高も4~6月に半減以下になる企業が相次ぐ。危機が長引けば、倒産が増え、失業者の再雇用もハードルが上がりかねない。経済再開に向け感染拡大阻止との折り合いをどうつけるか、政府の判断は一段と難しくなっている。

「92年の歴史の中で圧倒的に深刻な危機だ」。(マリオット・インターナショナルのアーン・ソレンソン最高経営責任者=CEO)。年明けは順調だったが、コロナの流行で売り上げは日増しに悪化し、米国の客室稼働率は20%程度にまで落ち込んだ。アナリストの予想では4~6月期の売上高は前年同期比59%減まで落ち込む。固定費をまかないきれず赤字に陥る見通しだ。

QUICK・ファクトセットの集計では業種間で影響の濃淡が鮮明だ。外出規制の影響で外食やレジャー、小売りなどで4~6月に売上高が半減以下になる企業が相次ぐ。デルタ航空や遊園地のシダーフェア、映画館のAMCは7割以上も減る。自動車など耐久消費財の買い控えも鮮明で、部品メーカーやディーラーへの影響も深刻だ。

一方でIT(情報技術)やヘルスケアは新型コロナの影響が比較的小さくすんでいる。ウォルマートのように生活必需品を扱う小売店は4~6月も小幅増収が見込まれている。

雇用も特定の業種に減少が集中している。4月の米雇用統計によると、娯楽施設は従業員が60%も減った。衣服小売りや飲食、宿泊も50%前後の深刻な人員削減が一気に進んだ。非農業部門の失業率は14.7%だったが米連邦準備理事会(FRB)によると、所得が4万ドル未満の世帯の失業率は40%に達する。

こうした企業は財務基盤が弱い傾向がある。さらに、これまで安定していた日銭が蒸発したため、資金繰りが厳しくなっている。レンタカーのハーツ・グローバルは11日、1年以内の継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)に疑義があると米証券取引委員会(SEC)に報告。株価は昨年末より8割以上、下落した。

米政府は企業の資金繰りや失業者を支援するため大規模な経済対策を進める。4月の財政赤字は7378億ドル(約79兆円)に達した。だが危機が長引けば、企業の破綻は増えかねない。

パウエルFRB議長は「長期間の深刻な景気後退は経済の生産能力に非常に長い打撃を与える」と指摘する。失業者が再雇用しづらくなり、労働のスキルを失ってしまう恐れがあるためだ。

米国は各州で段階的に経済の再開を進めている。アナリストも年後半には収益が持ち直すとみている。だが、ファウチ国立アレルギー感染症研究所長は早期再開について「制御できない感染の急拡大を引き起こすリスクがある」と警告する。感染の第2波が広がれば危機はさらに長期化する。経済回復と感染拡大阻止のジレンマは一段と強まっている。

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