大阪府、16日から休業緩和 感染拡大で再要請の基準も

2020/5/15 5:00
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新型コロナウイルス対策本部会議で話す吉村大阪府知事(14日午後、大阪府庁)

新型コロナウイルス対策本部会議で話す吉村大阪府知事(14日午後、大阪府庁)

新型コロナウイルスの感染拡大による大阪府の休業や外出自粛の要請が14日、約1カ月ぶりに段階的に解除されることが決まった。解除条件として独自に定めた3基準を7日連続で達成した。一部の業種を除き、国や府が作った感染症対策のガイドラインに沿って16日から営業できる。地域経済への影響をできるだけ抑えるのが狙いだが、感染再拡大の懸念は残る。

府は14日、新たに3人の感染者を確認し、府内の感染者は累計で1765人となった。休業要請解除の3基準は、感染経路不明者数が2.86人、陽性率が1.6%、病床使用率が22.9%で、いずれも基準を満たした。

14日夜に開いた府の対策本部会議で、段階的解除の対象業種を決めた。吉村洋文知事は終了後に記者会見し、「府民や事業者の協力でここまでこれた。防戦一方だったが、ウイルスとの共存という第2のステージに入った。社会経済活動を戻していく」と述べた。

休業要請の解除は映画館や劇場などの施設が対象となる。大学や学習塾などは要請を解除するが、府立学校は5月末まで休校の延長が決まっている。休校中は学年やクラスによって登校日を分けるなど感染防止対策を取りながら週1~2回の臨時登校日を設けている。

府は14日、営業にあたって感染防止策のマニュアルも公表した。劇場や映画館は、2メートルを目安とした十分な座席間隔の確保や、公演前後の観客の滞留を減らす工夫を求めた。居酒屋などの飲食店では、大皿でのとりわけの自粛や、BGMの音量を小さくし客同士が大声で会話しないよう呼び掛けることを挙げた。

一方、府内や他の自治体でクラスター(感染者集団)が発生したナイトクラブやライブハウス、スポーツクラブなどは休業要請解除の対象から外した。今後、重点的な感染対策が必要な「特定警戒都道府県」の指定が解除されれば、クラスターが発生した施設の解除を検討し、少人数イベントの自粛制限は解除する。政府の緊急事態宣言の区域から外れれば、原則全ての施設やイベントの要請を解除する。

府民には(1)不要不急の帰省や旅行など府県をまたいだ移動を避ける(2)接客を伴う飲食店など夜の繁華街への外出自粛(3)在宅勤務の推進など「3密」を避ける――ことを求めることも決めた。

制限緩和によって再び感染が拡大するリスクは残る。府は改めて休業要請するか判断する独自基準も定めており、感染の第2波、第3波に備える。

府が掲げるのは、感染経路不明者数や検査件数の陽性率などに関する3つの基準だ。全ての基準に達した場合、再び休業や外出自粛の要請を段階的に実施する。一つでも基準に達すれば、府がホームページ上で毎日公表している「大阪府新型コロナ警戒信号」で黄色を表示する。

大阪府が要請解除に向けて独自基準を作った背景には「感染症対策と社会経済活動の両立が重要」(吉村知事)との考えがある。府は▽経路不明の感染者が10人未満▽検査件数に対する陽性率が7%未満▽重症患者用の病床使用率が60%未満――の3基準を挙げ、14日まで7日間連続で達成すれば、休業要請などを段階的に解除する方針を示していた。

「重症病床基準より厳しく」
 りんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)の倭正也感染症センター長の話

 新型コロナウイルスは軽症から一気に重症化するケースが多数報告されており、重症病床の使用率の基準は厳しく見る必要がある。府は60%未満の維持を自粛解除の要件としたが、感染拡大の第2波に備え50%未満を維持すべきだ。
 自粛ムードが緩めば再び感染が拡大する可能性は高まる。医療体制を維持できるように、府は重症病床の使用率が超過しただけでも速やかに休業の再要請を検討すべきだ。
「独自基準 雇用維持で評価」
 関西大の宮本勝浩名誉教授(理論経済学)の話

 国の緊急事態宣言が長引き、資金繰りが限界に迫っている事業者が多い中、大阪府の独自基準に基づく休業要請の段階的な解除は、破綻回避や雇用維持の面で評価できる。行政は長期的な支援も検討すべきだ。
 感染の「第2波」を最小限にするためには事業者側の責任も大きい。行政が示す感染予防の指針を順守する必要がある。飲食店などは集団感染の発生時に濃厚接触者を追えるよう連絡先を控えるなど工夫も求められる。
「近隣府県と足並み一致を」
 早稲田大の片山善博教授(地方自治論)の話

 休業要請解除の基準を明確にした大阪府の姿勢は評価できる。ただ京都や兵庫など近隣府県と解除基準の足並みをある程度そろえないと、再開した施設のある特定の地域に人が流入することになりかねない。
 新型コロナウイルスを巡る対応は、国と地方の関係を見つめ直す良い機会になる。飲食店など多くの中小事業者が苦しい状況に追い込まれている中、各自治体が地域の実情に応じて物事を決めていく覚悟を持つべきだ。

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