緊急事態宣言 39県を解除 首相「県境越える移動自粛を」
東京・大阪圏は「特定警戒」継続

政府は14日夜の新型コロナウイルスに関する対策本部で、緊急事態宣言を39県で解除すると決定した。新型コロナに重点的に対応する「特定警戒都道府県」に指定していた茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県と、特定警戒ではなかった34県を宣言の対象から外した。安倍晋三首相は解除した地域を含め「今月は県をまたぐ移動を可能な限り控えてほしい」と語った。
決定は同日、官報に公示され、効力が発生した。政府が4月7日に7都府県に宣言を出してから解除をするのは初めて。
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政府が39県の解除を決めたことを受け、40を超える道府県が事業者への休業要請を緩和する方針を決めた。愛知県や福岡県のほか、特定警戒を維持する大阪府も段階的に休業要請を解除する。

首相は対策本部に先立つ記者会見で、39県を解除した理由として「新規感染者が直近1週間の合計で10万人当たり0.5人以下に抑えられている」などを挙げた。感染者の増加傾向があれば、再び宣言の対象にする可能性もあると話した。愛媛県はクラスター(感染者集団)が発生したため条件付きで解除した。
北海道と千葉、埼玉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫の8都道府県は特定警戒を維持した。感染者数が減っている地域が多いが、首相は「まだリスクが残っている」と指摘した。
首相は特定警戒を続ける8都道府県に関して、21日をメドに専門家の評価を受けて「可能であれば31日を待つことなく解除する」と強調した。
西村康稔経済財政・再生相は記者会見で、28日ごろに再び判断する考えを示した。「首都圏は一体的に考えるのが自然だ」と述べ「東京、神奈川、埼玉、千葉」と「大阪、京都、兵庫」はそれぞれ一緒に解除を検討するとの認識を示した。
首相は記者会見で80を超える業界が感染予防の指針を作ったと紹介し「新たな日常を一緒につくりだしたい」と訴えた。来月をメドに感染を短時間で判定する抗原検査キットを1日2万~3万人分供給すると表明した。

14日の対策本部ではコロナ対応の指針となる基本的対処方針を改定した。宣言を解除する基準に関して(1)感染状況(2)医療提供体制(3)PCR検査などの監視体制――の3点を明記した。「10万人当たり0.5人程度以下」などを目安にする。
宣言をいったん解除した後に感染が再拡大する兆候があれば改めて宣言の対象に指定することも盛り込んだ。感染者数が倍になるまでの「倍加時間」や感染経路不明者の状況を目安にする。
政府は4月16日に宣言の対象を47都道府県に広げ、そのうち13都道府県を特定警戒に指定した。5月4日には、6日までだった宣言の期間を31日まで延長すると決めた。

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