シチズン、20年3月期7年ぶり最終赤字166億円
シチズン時計が14日発表した2020年3月期の連結決算は、最終損益が166億円の赤字(前の期は133億円の黒字)だった。新型コロナウイルスの感染拡大で時計やその駆動部品の販売が落ち込んだ。特に駆動部品の低迷は長引くとみて、製造設備などの価値を引き下げて減損損失を計上した。「時計事業は抜本的な見直しが必要」(佐藤敏彦社長)という。
最終赤字は7年ぶり。主力のクオーツ時計やその駆動部品はスマートウオッチなどに押され、もともと苦戦していた。そこに新型コロナが加わり「さらなる悪化は避けられない」(常務取締役の竹内則夫氏)。
需要の減少を受けて1~3月の駆動部品の工場の稼働率は通常と比べ約3割下がった。4月からは工場での一時帰休にも乗り出しており、投資資金の回収は難しいと判断した。対策として今後は生産体制の見直しや、電子商取引の強化などに取り組む。佐藤社長は「市場の回復を見通しにくい。方向性が見えてきた時点で改革の内容も見極める」としている。
売上高は前の期比13%減の2785億円、営業利益は73%減の61億円だった。消費増税後の需要減少や北米市場での苦戦に、外出規制による店舗閉鎖が追い打ちをかけた。特に店頭での取り扱いが中心の欧米や日本の販売は4~5割減った。
21年3月期の業績予想は未定とした。
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