対中情報戦、米が警戒強める 新型コロナ巡り
スパイ活動・偽情報で防戦 対抗策も

2020/5/14 15:58
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米政権が新型コロナウイルスを巡る中国との情報戦への警戒を一段と強めている。米連邦捜査局(FBI)は13日、ワクチンなどのデータを狙った中国のスパイ活動が活発になっているとして米国の研究機関に警告書を発出した。SNS上では自らに都合の良い偽情報を中国が拡散していると分析しており、対抗措置に動き始めた。

トランプ米政権で中国批判の先頭に立つポンペオ米国務長官=ロイター

「中国は新型コロナのワクチンや治療法、検査について貴重な知的財産やデータを盗もうとしている」。FBIは13日の声明で、ワクチン開発などを担う製薬やヘルスケア関連の研究機関にこんな内容の警告を出した。

FBIはサイバー攻撃に加えて「非伝統的な主体」による情報収集の可能性も指摘した。過去には米国内での知的財産の窃取に中国からの留学生や研究者の関与が取り沙汰されたこともあり、米側の強い警戒感をうかがわせる内容となった。

米国は中国が新型コロナに乗じて情報戦を強化しているとみる。国務省によると、中国外務省や在外公館当局者の36のツイッターのアカウントではフォロワーの増加数が従来の1日あたり平均30人から3月以降は720人超に増えた。「中国がウイルスの発生源ではなく、問題に対処するグローバルなリーダーであるかのようにみせようとしている」内容だった。

増加分の多くを新たなアカウントが占め、機械で自動的に投稿内容を広げる「ボット」を活用しているという。国務省で中国のプロパガンダ活動の監視に取り組むガブリエル特使は「中国外交の言い分を拡散するためだ」と指摘し、中国共産党の関与がうかがえると分析する。

米国も中国の攻撃に手をこまねいているだけではない。「こうした(民主化に向けた)主張はまだ愛国心がないとか、親米派と言われるのか」。ポッティンジャー米大統領副補佐官は4日、オンラインの講演で約20分間、中国語で話し続けた。

同氏はホワイトハウスでトランプ政権の対中強硬策を支える実務者の中心人物だ。ジャーナリスト出身で北京の駐在経験もある。この日の演説は1919年にあった反帝国主義・反日運動の「五・四運動」の機会をとらえたもので、中国からの参加者も念頭に置いた。香港のデモなどにも触れて民主化を唱える市民の声に中国政府は耳を傾けるべきだと訴えた。

トランプ大統領やポンペオ国務長官はウイルスの発生源を中国湖北省武漢市のウイルス研究所だと訴えてきたが、追及の決め手を欠く。「多くの証拠がある」としてきたポンペオ氏は最近になって「研究所から流出したか、ほかの場所からなのか確信があるわけではない」とやや発言を修正した。

中国側は「証拠があるなら見せてほしい」(外務省報道官)と強気の姿勢をみせる。元米中央情報局(CIA)のポール・ピラー氏は「中国当局は初動の遅れなど自らの失敗を隠すため、情報が漏れないよう研究員の家族らも含めて厳しく口封じをしているだろう」と話し、情報収集が難航している可能性が大きいと指摘する。

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