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災害としてのコロナ禍、共助の力を発揮するとき

新型コロナウイルスの災厄が世界を覆っている。疾病による生命への危機。同時に移動などの自粛要請による生業(なりわい)の急減が日々の暮らしを大きく揺るがす。

「感染症への対処は専門領域の医療従事者が日々奮闘されている。一方で個々人の生活崩壊は社会全体で防ぐべきだ」

日弁連災害復興支援委員長の弁護士、津久井進さん(51)ら災害法制の活用に取り組む弁護士有志は「コロナ禍は災害」として、災害対策基本法など災害法制の活用応用での公助促進を訴える。災対法では「異常な自然現象」も災害。コロナ禍による被害も対象だ。

激甚災害法の災害特例を適用すれば経営者は従業員を解雇せずに休業、労働者は雇用保険基本手当を受給できる。1人一律10万円の給付金も災害の損害補償とすれば収入に算入されず生活保護が維持できる。平等原則や申請主義に拘泥し、手遅れになりがちな行政対応を迅速にという提案だ。

コロナ禍を災害と捉えれば、被災者の困難に向き合った市民の共助力が期待できる。阪神大震災後、市民が被災地へ向かい、東日本大震災では2018年までに社会福祉協議会の募集だけで150万人が参加。日本ファンドレイジング協会の推計で国内寄付総額は16年までで5千億円。15歳以上の54%が寄付した。

1人の力は小さいが、微力の集結は個々の困難を確実に取り除く。昨秋の台風で深刻な水害に遭った福島県いわき市の民家での泥かきとごみ撤去に参加した。土のう袋に泥土を詰め、災害ごみを集積場へ送る作業を十数人で繰り返した。遠く岡山県や大阪府から来た人も。微力の結集は九州や西日本の地震、水害の被災現場でも見た。共助を受けた被災者が後に自立再起した姿はうれしい。こんな力をコロナ禍での救援資金の集結に発展させたい。

経済救援を求める人は各地に広がる。個人事業主や学生、生活困窮者など様々だが、公助から放置され、もう声を出せないかもしれないが、疲弊した人を見つけだし、個々の困難に向き合う「ケースマネジメント」を実践してきた被災者支援団体、弱者と向き合う民間組織に期待したい。

5月9日、神戸で「ひょうご・みんなで支え合い基金~コロナから始まる共助社会」(代表、実吉威・ひょうごコミュニティ財団代表理事)が活動を始めた。寄付を募り、コロナ禍で困窮する人々の支援活動を助成する。全国各地にもこんな仕組みができ、相互に結び合って共助を広めたい。

1人10万円の給付が始まる。想像してみよう。1人がわずかな金額でもより多くの市民が共助の資金へ拠出すれば、困難解決の大きな原資になる。

新しい生活様式に「共助、共生社会の実現」を加えたい。災厄を経て、豊かな社会は必ず実現する。(小林隆)

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