米、失業率20%超えの可能性 保険申請3600万件突破

2020/5/14 15:12 (2020/5/15 2:23更新)
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失業を届け出るため並ぶ人たち(4月、米アーカンソー州)=ロイター

失業を届け出るため並ぶ人たち(4月、米アーカンソー州)=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米労働省が14日発表した失業保険の新規申請件数(季節調整済み)は、9日までの1週間で298万1千件となり、前週(318万件)からやや減速した。ただ、新型コロナウイルスの猛威によって、申請数は8週間で3600万件を突破。米労働市場では5人に1人が職を離れた計算になり、5月の失業率は20%に達する可能性もある。

失業保険の申請数は市場予測(約250万件)より多かった。新型コロナが深刻になった3月下旬は週600万件強を記録。足元ではやや減速しつつあるが、新型コロナの発生前は1982年の週69万件が最大で、雇用悪化のスピードは過去例のない速さだ。

3月時点の米労働人口は1億6300万人だった。失業保険の申請数から推測すると、2カ月弱で3600万人が一時帰休や解雇を迫られ、5人に1人が離職した計算だ。4月の失業率は14.7%と既に戦後最悪だが、米大統領経済諮問委員会(CEA)前委員長のケビン・ハセット氏は「5~6月に失業率は20%に達する」と懸念する。

大恐慌は1929年の株価暴落から始まった。3%台だった失業率は33年5月には25.6%まで上昇し、10%を再び下回ったのは40年代に入ってからだ。今回は3月半ばに新型コロナが深刻化し、わずか2カ月で失業率が4%台から20%まで急上昇する可能性がある。飲食店などの営業が突如として大幅に制限された影響が大きい。

4月の失業者(2300万人)のうち78%は「一時的な解雇」で、事業が再開すれば早期の職場復帰に道を残している。2008~09年のリーマン・ショック時は「一時的な解雇」が10%前後にとどまり、逆に「恒久的な解雇」が50%程度もあった。今回は恒久的な解雇は11%にとどまっており、米経済特有のレイオフ(一時解雇・帰休)の影響が大きい。

経済活動を部分再開した一部の州では、失業保険の申請ペースが減速している。5月2日までの1週間をみると、4月末に自宅待機令を解いたアラバマ州は、申請数が前週から62%減少した。5月4日に経済活動を一部再開したフロリダ州も同60%少なくなった。全米では18%減にとどまるが、経済再開が進めば雇用悪化にも歯止めがかかる可能性がある。

もっとも、米労働市場の復元には相当な時間がかかりそうだ。全米レストラン協会の調査では、飲食店の1割以上が一時休業ではなく閉店に追い込まれる可能性がある。生活者は感染リスクを恐れて人混みを避けるようになり、飲食や旅行などのサービス業は需要回復が見込みにくい。一時的な解雇は、そのまま恒久解雇となるリスクがある。

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