国連、新型コロナ「メンタルヘルスの危機に」
【ニューヨーク=吉田圭織】国連のグテレス事務総長は13日、新型コロナウイルスの世界的な流行がメンタルヘルスの危機をもたらすと警告し、加盟国に対策を強めるように求める提言を発表した。新型コロナに感染する不安に加え、仕事や家族を失ったり、外出規制で孤立したりするなど、ストレスを抱える人が増加していると指摘する。

新型コロナ対応の最前線に立つ医療従事者や、外出制限で孤立しやすい高齢者などでメンタルヘルスが特に悪化しやすいという。
グテレス氏はメンタルヘルス問題について「数十年にわたる投資不足がさらなる苦痛をもたらしている」と指摘した。18日から開かれる世界保健機関(WHO)の年次総会で対策強化に向けた意欲的な目標の発表を加盟国に求めた。
国連によると、新型コロナがまん延する前から、うつ病や不安神経症による世界経済への損失は1兆ドル以上に及んだ。感染拡大後のアンケート調査によると、苦痛を感じる人の比率が中国で35%、米国で45%、イランは60%に達した。外出制限の長期化で、メンタルヘルスがさらに悪化する懸念もある。