AIやARで顧客取り戻せ ブランド助ける先端テック

CBインサイツ
スタートアップGlobe
コラム(テクノロジー)
2020/5/15 2:00
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CBINSIGHTS
 世界的な外出自粛や店舗休業の中、小売りやメーカーなどのブランドは顧客との結びつきをどのように強めていけばよいか。多くの企業が頼りにしているのが、デジタル技術を活用した方法だ。人工知能(AI)や拡張現実(AR)などを使った最新の顧客囲い込みツールを提供するスタートアップ企業をCBインサイツがまとめた。

ブランドは消費者とつながる手段として、ウェブサイトやSNS(交流サイト)などのデジタルチャネルにこれまで以上に目を向けるようになっている。新型コロナウイルスの世界的な流行もあり、これまで主に実店舗を活用してきた企業にとっても、デジタルチャネルは顧客と直接関わる重要な手段になっている。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

オンライン飲み会のように、この分野のいくつかの取り組みは、対人距離を保つソーシャルディスタンス(社会的距離)が緩和されれば消えていくだろう。一方、定着するものもある。例えば、オンライン相談などのサービスはより便利になり、消費者は改良されたネットショッピング体験を高く評価するようになるかもしれない。

もっとも、多くのブランドはこうしたシステムを自前で素早く展開する社内ノウハウを持たない。このため、デジタル上でつながるプラットフォームやサービスを提供しているスタートアップ企業にとっては商機となっている。

今回のリポートではモバイルメッセージングから音声AI、ARに至るまで、ブランドのデジタルチャネル構築を支援するスタートアップ3社を取り上げる(英語の元記事では8社)。

今回登場する企業は資金調達額、市場の強さ、投資家の質に加え、ニュースでの言及回数や業況など非財務的な要素に基づいて選んだ。

1.米アテンティブ・モバイル(Attentive Mobile)

出所:アテンティブ

出所:アテンティブ

▽カテゴリー:商品の発見や助言、モバイルメッセージング
▽拠点:米ニューヨーク州ニューヨーク
▽ステージ:シリーズC
▽累積資金調達額(公表ベース、以下同):1億6500万ドル
▽主な投資家:米セコイア・キャピタル、米ベイン・キャピタル・ベンチャーズ、米エニアック・ベンチャーズ

 ニューヨークに拠点を置くアテンティブ・モバイルはモバイルメッセージングを通じて小売りやブランドと消費者をつなぐ。セールやおススメ商品、カートに入れたまま決済されていない商品など消費者に個別のメッセージを送る。
 米「コーチ」から米「パクサン」に至る様々な価格帯のブランドがアテンティブを活用している。アテンティブによると、自社サービスを使っているブランドは、消費者1人当たりの売上高が電子メールでのキャンペーンに比べて最大10倍に増えるという。


2.米パーフェクト・コープ(Perfect Corp)

出所:パーフェクト・コープ

出所:パーフェクト・コープ

▽カテゴリー:商品の発見や助言、ARを利用したお試しツール
▽拠点:米カリフォルニア州サンノゼ
▽ステージ:シリーズB
▽累積調達額:2500万ドル
▽主な投資家:アリババ集団(中国)、訊連科技(サイバーリンク、台湾)、創世伙伴資本(CCV、中国)

 パーフェクトはバーチャルメークのARツールを提供する美容プラットフォームだ。動画のライブ配信でメークレッスンを提供したり、ARで試せる個別の商品を利用者に勧める機能を支援したりしている。これまでに中国のネット通販最大手アリババ集団や米動画共有サイト「ユーチューブ」、米化粧品ブランド「マック」やエスティ・ローダーなどと提携している。
 新型コロナの感染拡大を受け、パーフェクトは化粧品ブランド企業がコロナ終息後に有料利用してくれることを期待し、各社にプラットフォームの一部機能を無料で提供している。パンデミックを受けて消費者によるバーチャルメークの利用は3分の1増え、ライブ配信の閲覧時間は2倍に増えているという。
ARツールは既に美容アイテムのコンバージョン(購入)を増やす手段として効果が証明されている。仏ロレアルは19年、ARでメークを試した消費者の購入率はそうでない消費者よりも10%高かったことを明らかにしている。


3.米ニューストア(NewStore)

出所:ニューストア

出所:ニューストア

▽カテゴリー:受注配送システム(フルフィルメント)、オムニチャネル(実店舗とネットの融合)機能
▽拠点:米マサチューセッツ州ボストン
▽ステージ:シリーズB
▽累積調達額:1億3700万ドル
▽主な投資家:米ゼネラル・カタリスト、米アクティバント・グループ

 ニューストアのモバイルプラットフォームを使えば、店舗の店員がオンラインで在庫にアクセスし、ネット注文の配送や返品・交換などを店舗で処理し、モバイルPOS(販売時点情報管理)技術を活用するなど店舗をデジタル化できる。
 仏スポーツ用品店「デカトロン」などのブランドはニューストアのサービスを活用し、パンデミックで閉店中の店舗の在庫商品をオンライン注文した買い物客に送ることで、より効率的な配送ルートを築いている。
 ニューストアは米「ダイアン・フォン・ファステンバーグ」や米「アウトドア・ボイシズ」などのブランドとも組み、店舗とネットを融合させたサービスを提供している。
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