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医療保険ゆさぶる高額薬 1億6707万円、20日保険適用

1度の投与で1億6707万円という国内最高額の公定価格(薬価)がついた薬が20日に保険適用になる。乳幼児向け難病治療薬「ゾルゲンスマ」で厚生労働省が13日に決めた。画期的な薬の登場は患者にとって朗報だが、市町村や企業が運営する医療保険の支出を急増させ、保険料引き上げなどの対応が必要になる可能性がある。

ゾルゲンスマはスイスの製薬大手ノバルティスの薬。筋力を低下させる脊髄性筋萎縮症にかかった2歳未満の子に投与する。体内に遺伝子を入れて病気を治す治療薬だ。

1億円を超す薬価がついたのは、類似の既存薬が定期的に投与を繰り返すのに対し、ゾルゲンスマは1度の投与で済むうえ効果も大きいためだ。比較対象になった既存薬「スピンラザ」の薬価は1回949万円だが、繰り返し投与する必要がある。少なくとも11本分と同等とのデータから1億円程度になった。

さらに1回の投与で長期間の有効性が確認されたことなどが画期的と評価され、60%が上乗せされた。2億円を超す米国に比べれば、それでも抑えられている。

ノバルティスは「ベクター」と呼ぶ遺伝子を運ぶ機能をつくるのに「複雑で特殊なプロセスが必要」としている。ゾルゲンスマはこのベクターを多く使うのでコストがかかるという。

医療費の患者負担には原則3割の窓口負担とは別に月額の上限を定めた制度があり、薬価が超高額でも患者負担はごく一部になる。そのぶん医療保険からの支出が増える。

健康保険組合連合会によると、大企業の健康保険組合の19年度の給付費は全体で4兆2千億円の見込み。ゾルゲンスマの想定患者数は年25人で給付額は42億円程度。これだけみれば影響は軽微だ。

だが1組合あたりの給付でみると単純平均で年30億円、1カ月あたりで2.5億円。ゾルゲンスマを1回使うと支出は1.7倍ほど増える。加入者が毎月納める保険料が財源になっている保険財政は一気に逼迫しかねない。

健保連と全国健康保険協会は13日、重症向けの高額薬を公的保険でカバーし続ける一方で「相対的に必要度が低下した市販類似薬について保険給付から外したり、自己負担の割合を変更したりする検討に早急に着手すべきだ」とコメントした。

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