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業績ニュース

武田、前期利益67%減 問われる「新薬を生み出す力」

2020/5/13 19:12
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武田薬品工業は13日、国内の製薬会社として初めて売上高3兆円を超える決算を発表した。アイルランド製薬大手シャイアーを2019年に買収した結果だ。これで「メガファーマ」の仲間入りをしたが、20年3月期の純利益は前の期比で約7割減った。メガファーマとしての規模を有望な新薬の開発につなげられるかどうか。真価が問われるのは、これからだ。

クリストフ・ウェバー社長は新薬開発などを進める方針を示した(19年11月撮影)

新型コロナ感染症治療薬の治験で使う薬は武田薬品工業の米ジョージアの工場で作る計画

「グローバルな競争力は高まり、当社の規模に日本でかなう者はいない。統合という変革は初めてだったが、できることを示せた」。13日のメディア向けの電話会議でクリストフ・ウェバー社長は、こう語った。

20年3月期連結決算(国際会計基準)の売上高は3兆2911億円で前の期を57%上回った。一方で純利益はシャイアー買収の費用がかさんだ影響などで67%減の442億円だった。ウェバー社長は新型コロナウイルスの影響について「今のところは限定的だが、電話会議などのコストが高まり、新たな臨床試験(治験)を始められていない。今後そういうことも評価していかないといけない」と述べた。21年3月期の売上高は3兆2500億円、純利益600億円を見込んでいる。

武田はシャイアー買収により売上高で世界の製薬大手の上位10社に入った。足元ではシャイアーの技術を活用し、新型コロナ感染症の治療薬の開発を進める。血液に由来する成分からつくる「血漿(けっしょう)分画製剤」で、シャイアーはこの分野で世界大手だ。ライバルの米CSLベーリングなどとも提携し、今夏にも治験を始める。

買収後にシャイアーの社員は武田に移籍し、両社は拠点の統廃合に着手した。勤怠管理システムなどの統一も進めている。年間コスト削減効果は11億ドル(約1100億円)。21年度末までに23億ドルへの拡大を目指す。巨額買収で膨らんだ負債を圧縮するため、スイスのノバルティスに医療用目薬事業を売却するなど予定も含め総額で最大76億ドル以上の資産売却をまとめている。目標の100億ドルまであと一歩だ。

ただし事業面の課題は多い。消化器系疾患の「エンティビオ」や神経疾患の「ビバンセ」など年間売上高が1000億円を超える大型薬は特許切れが近づく。24年度までに12種類の新薬を投入する計画だが、患者数が少ない治療薬に重点を置いており「カバーできるかは未知数」との声もある。

武田は画期的な新薬を自前で生み出せない期間が長引いている。ウェバー社長は16年に研究開発の重点分野の絞り込み、拠点の再編などに踏み込んだ。ただし効果が出るまでには時間がかかりそうだ。シャイアーの研究開発力についても「安定的な製品はあるが、新しいものを作る力は乏しい」との声も出ている。

今後はメガファーマにふさわしい規模の資金を研究開発に投じられるかが焦点となる。英調査会社エバリュエートによれば19年の研究開発費は上位10社平均で72億ドル。首位のスイス・ロシュは100億ドルを超えるが、武田は45億ドルの水準だ。

大和証券シニアアナリストの橋口和明氏は「買収で企業規模が大きくなった分、それを維持するために必要な新薬が増えた」と指摘する。メガファーマになった効果を生かすも殺すも、今後の戦略にかかっている。

(高城裕太)

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