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武田 純利益36%増 21年3月期 潰瘍性治療薬伸びる

武田薬品工業は13日、2021年3月期の連結純利益(国際会計基準)が600億円と前期比36%増える見通しだと発表した。主力製品が好調なほか、アイルランドの製薬大手シャイアー買収に関連する費用が減少。当初計画以上にコスト削減が進む。大型買収に伴い膨らんだ有利子負債の削減に向けた非中核事業の売却も進めており、買収によるシナジー効果をどこまで発揮できるかが株価回復の鍵となる。

19年1月にシャイアー買収を完了し、通期で業績を取り込むのは今期で2期目。売上高にあたる売上収益は1%減の3兆2500億円を見込む。複数の非中核事業を前期に売却した影響が出る。

本業のもうけを示す「コア営業利益」は9840億円と2%増える。前期に3472億円販売した潰瘍性大腸炎・クローン病治療薬「エンティビオ」は今期24%伸び血液がん治療薬「ニンラーロ」も約1割増える。

シャイアーが得意としていた人間の血液に由来する成分からつくる「血漿(けっしょう)分画製剤」も1~2割成長する見込みだ。新型コロナウイルスの治療薬として開発を進めており、7月にも臨床試験(治験)を始め、年内にも承認申請をする意向を示した。

武田が同日開いた電話会見でクリストフ・ウェバー社長は「2社が統合したことのメリットを実現できた。将来に向けて強い立ち位置にある」と強調した。

会計上の費用が減るのも増益の理由の一つだ。一般に買収の際には対象企業の在庫(棚卸し資産)や特許(無形資産)などを時価(市場価値)に洗い替えする。製薬会社の在庫は当初の製造原価は低いが、市場に出回ると評価が高まり、在庫評価と市場での売価に乖離(かいり)が生まれる。

買収以前のシャイアーの在庫評価は3805億円だったが、再算定により7518億円に増加。この影響で前期は売上原価で1910億円処理していたが今期は857億円にとどまる見通しだ。

統合関連費用の減少も寄与する。シャイアー買収後に営業拠点の閉鎖やシステムの統合などを進めて前期に1354億円計上した費用が、今期は900億円まで減る。

22年3月期までに税引き前で20億ドル(約2140億円)のコスト削減を目標としていたが、こうした取り組みにより、すでに11億ドルの削減を達成したという。今後の効果も見込み、削減目標を23億ドルに上方修正した。

統合後の作業が進む一方で市場からの評価は芳しくない。買収計画が明らかになる前の17年末と比べ株価は4割安い。その間に血友病治療の新薬で業績を伸ばす中外製薬に時価総額で抜かれた。画期的な抗がん薬で将来成長が期待される第一三共にも詰められている。

「グローバルに売り上げが成長する薬を14も抱えている企業は世界にない」とウェバー社長がいうように収益分散化が図られている点を評価する向きはある。買収関連費用などを除いた今期のコアEPS(1株当たり利益)は420円と、買収前の18年3月期に比べ4割ほど増える見通しだ。

一方、世界では販売額が2兆円を超える薬もある中で武田には大型薬が少ないのも事実だ。利益率が高い希少疾患などに活路を見いだしているが、特許切れも迫る。買収から実質2年目を迎え、内部管理体制の構築から、収益化に向けた実績を積み上げる段階へと早期に移る必要がある。

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