琵琶湖「深呼吸」せず 2年連続、低酸素懸念

2020/5/13 11:29
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2019年8月、琵琶湖で発生したアオコ(滋賀県提供)=共同

2019年8月、琵琶湖で発生したアオコ(滋賀県提供)=共同

滋賀県の琵琶湖で表層と湖底の水が混ざり、酸素が行き渡る「琵琶湖の深呼吸」が2年連続で確認されない異例の事態になっている。暖冬で表層の水温が十分に下がらなかったことが原因とみられる。昨年は低酸素の湖底で生物の死骸が見つかった。

専門家は「海外では地球温暖化で水が循環しにくくなっている湖沼もある。琵琶湖も酸素が足りない状況が続けば、水環境が変わる可能性がある」と懸念する。

「全層循環」と呼ばれ、例年1~2月ごろに確認されてきた。酸素を多く含んだ表層の水が冷え、低層にある水と同じ比重になることで起きる現象で、湖底に1年分の酸素を供給する。

滋賀県は湖北の高島市沖合の観測エリアで、水深90メートルの湖底の酸素濃度が表層と同じ1リットル当たり10ミリグラムほどになると、全層循環が完了したと判断してきた。だが昨年は湖底の酸素濃度が上がらず、1979年の観測開始以降、初めて循環完了が確認できなかった。

今年3月の調査でも水深80メートル付近までは風などで循環が発生していたが、水深90メートル付近は1リットル当たり8.5~9.3ミリグラムと表層より低かった。表層の水が届ききっていないとみられる。

酸素濃度が2ミリグラム以下になると、水中生物の生存が難しくなるとされる。昨年夏は最も低い観測地点で1.2ミリグラムになり、湖底に水中カメラを沈めて撮影した際には、ハゼ科の固有種のイサザが死んでいるのが見つかった。

魚の餌となるヨコエビが全滅している場所もある。その後は生物への大きな影響は出ていないが、県は「異例の事態」として湖の調査を続ける。

京都大の中野伸一教授(陸水生態学)は、今年の酸素濃度は昨年よりも高いとし「深呼吸まではいかないが、半呼吸くらいはしている」と分析している。

ただ、貧酸素状態が続くと湖底の泥に含まれるリンなどの物質が溶け出し、それを餌に植物プランクトンが増殖して「アオコ」が大量発生する恐れがあると指摘。緑色のアオコが水面を覆えば景観を損ない、水道水に臭いがつく可能性もあるという。

〔共同〕

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