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授業の遅れ取り戻せるか 高校、オンライン環境など課題

新型コロナウイルスの感染拡大で休校が続いている各地の高校が、オンライン授業の導入を模索している。国は年度内に小中学校で「1人1台」のパソコン配備を進める方針だが、義務教育でない高校は自治体に委ねる。通信環境など課題は多く、先行する私立高と公立高で学力格差が生じる懸念もある。(大畑圭次郎)

13日午前、大阪府立夕陽丘高校(大阪市天王寺区)では3月の休校以来初めての臨時登校日を迎えた。1年生約300人が登校するのは入学以来初めて。この日は1クラス約40人の生徒が3回に分けて登校し、教室では2メートルずつ間隔を空けて座った。2~3年生も14日以降、順次登校する。

同校は4月中旬から、授業動画を生徒向けにネット配信。パソコンなどを持っていない生徒には録画したDVDを貸し出す。生徒は日々の時間割に沿って動画を見たり、プリント教材に取り組んだりしているという。

網代典子校長は「特に3年生は大学受験を控えており、授業がないことで不安を持っている生徒も少なくない」と話した。

151校ある府立高校は5月末までの休校期間中、学年ごとに曜日を分けるなどして週1~2回の臨時登校日を設定している。授業は行わず、生徒の様子を確認するのが目的だ。

6月から授業を再開できた場合も、2カ月分の授業日数を確保するため、夏休みを数週間短縮するなどの措置が必要になる。さらに吉村洋文知事は5日、学校再開後も「第2波が来て再び休校になる可能性がある」と指摘。学習体制を確保するため「6月末までに府立高校でオンライン授業ができるようにする」と号令をかけた。

ただ府教育庁によると、各家庭のネット環境にはばらつきがあり、オンライン授業に取り組んでいる学校は多くない。同庁は12日、府立高校などに対し、生徒の家庭のネット環境やスマホなどの所有率を調査するよう求めた。担当者は「学校や地域によって家庭のネット環境には大きな差があるだろう」と見込む。

文部科学省は4月、オンライン授業の基盤としてパソコン「1人1台」の環境を全国の小中学校で今年度中に実現するための予算を計上した。ネット環境がない家庭には自治体を通して通信機器を貸し出すが、高校は対象外。文科省の担当者は「義務教育ではない高校には、地方臨時交付金などを使って各自治体が整備を進めてほしい」と求める。

府教育庁によると、6月末までの応急策として、授業の動画配信とオンラインで課題を提出する体制を整備できる。だが、テレビ会議システムを使って教員と生徒が対話する「双方向型」は一定水準以上の通信環境が必要で導入のハードルが高い。

府はネット環境がない家庭に無線ルーターを貸し出すことも検討するが「十分な数の機器を確保することや、通信費を誰が負担するかなど課題は多い」(府幹部)。今後導入の検討を進めるが、当面はパソコンと授業動画を入れたUSBを貸し出す方法でしのぐことも視野に入れている。

導入、私立高で先行

一部の私立高校では既にオンライン授業が定着しつつある。

近畿大付属高校(大阪府東大阪市)では4月から、約2800人の生徒が1日あたり約3時間のテレビ会議システムによる双方向型授業やネットでの課題提出などに取り組む。同校では2013年から情報モラル教育の一環として、生徒一人ひとりにタブレット端末を配布していた。担当教員は「通常の授業と遜色なく学習できている」と話す。

ただ、こうした高校は一握りだ。LINEの調査サービス「LINEリサーチ」が4月中旬、全国の高校生約900人に実施したアンケートで、通っている学校でオンライン授業が取り入れられていると答えたのは14%。国公立が9%だったのに対し、私立は26%だった。

公立高のオンライン授業環境を整備する動きもある。愛知県では4月中旬、県立高校などに通う生徒のうち、ネット環境のない家庭にタブレット端末やモバイルルーターを無償で貸し出すと決めた。双方向型のオンライン授業も可能になるという。県の担当者は「大学受験を控える生徒もおり大事な時期。オンライン授業で少しでも学習の遅れを取り戻してほしい」と話す。

東北大大学院の堀田龍也教授(教育工学)は「学校によって環境に差があり、生徒の学習機会が大きく左右されている」と危機感を強める。休校中に学習意欲を保つには「授業動画だけでなく、生徒同士が意見を言い合える双方向型の授業との組み合わせが望ましい」と指摘。「ネット環境がない家庭には支援策を用意するなど、行政はスピード感を持って取り組むべきだ」と求める。

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