米、物価11年ぶり下落幅 食品は石油危機以来の急上昇

2020/5/12 22:42 (2020/5/13 5:27更新)
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4月の米消費者物価指数は大幅に下落した=ロイター

4月の米消費者物価指数は大幅に下落した=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米経済は新型コロナウイルスによるデフレ圧力が鮮明になってきた。4月の消費者物価指数(CPI)は11年ぶりの低下幅となり、航空運賃や衣料品は過去例のない大幅な値下がりとなった。ただ、「物価の優等生」とされる卵が16%も値上がりするなど、供給不足の食品は1970年代以来の価格上昇だ。生活者には収入不安と食材高騰という二重苦が襲う。

米労働省が12日発表した4月のCPI(季節調整済み)は前月比で0.8%低下した。低下幅は金融危機だった2008年12月と並ぶ水準だ。食品・エネルギーを除くコア指数も同0.4%低下し、1957年の集計開始以来、最大の下落幅を記録した。

新型コロナによって経済活動が大幅に制限され、短期間で需要が失われた影響が大きい。航空運賃はわずか1カ月で15%下落。レンタカー料金も17%下がった。原油安も影響してガソリン価格は21%低下し、外出制限によって衣料品も5%値下がりした。航空運賃は2001年の同時多発テロ時を大幅に超す値下がりとなり、衣料品も1947年の集計開始以来、最大の値下げ幅となった。

食品価格は1970年代以来の上昇率に=ロイター

食品価格は1970年代以来の上昇率に=ロイター

米経済は新型コロナによる需要ショックだけでなく、生産活動が止まる供給ショックも混在する。そのため、外食需要などを除いた「家庭用の食品」は前月から2.6%も値上がりした。上昇率は石油危機だった1974年以来の大きさだ。外出制限で自宅での食材利用が増える一方、新型コロナで食品工場が一部閉鎖されて供給も不足するためだ。

卵は1カ月で値段が16%も上昇し、牛肉も4%、豚肉は3%値上がりした。1年前と比べると、食肉価格は7%上昇し、家計を圧迫する。主食であるコメやパンも、1カ月でそれぞれ4%近い値上がりとなった。

4月は失業率が戦後最悪の14%台に上昇。家計はデフレ圧力で収入減に見舞われ、食品価格の上昇が追い打ちをかける。テキサス州やカリフォルニア州では、生活者が「卵の便乗値上げ」を理由に食品スーパーを提訴するなど、社会の不満も強まっている。

米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利政策は当面続くことになりそうだ。前年同月比でみたCPIは0.3%の上昇にとどまり、伸び率は前月の1.5%から大きく縮まった。コアも1.4%どまりで、FRBが目指す2%の物価上昇率目標から一段と遠のいた。新型コロナによる需要と供給の二重のショックには、強力な金融緩和の維持が欠かせない。

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