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パキスタン、一帯一路の債務繰り延べ要請

【カラチ(パキスタン)=アドナン・アーミル】中国の広域経済圏構想「一帯一路」に参加する国の間で、中国に金融支援を求める動きが広がっている。いち早く声を上げたパキスタンは4月、300億ドル(約3.2兆円)の融資について返済期間の延長を要請。アジアやアフリカで追随する国が出てきた。新型コロナウイルスが各国経済に打撃を与えており、中国は対応を迫られている。

パキスタン政府が救済を求めたのは、インフラ整備事業「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」を対象とする債務だ。一帯一路はかつて中国と欧州を結んだ交易路シルクロードに沿って構築をめざす経済圏で、習近平(シー・ジンピン)国家主席が提唱した。CPECはその中核となる案件の一つで、失敗すれば習氏にも痛手となる。

中国がパキスタンの要請に応じれば、パキスタンは年間で5億ドルの手元資金を確保できる。アブドゥル・ハフィーズ・シェイク首相顧問は「新型コロナの感染拡大による前例のない状況に対応するため、中国の協力を期待する」との声明を発表した。

中国は一帯一路の整備を続けるため、債務の繰り延べなどに応じざるをえないと専門家は指摘する。米国のジャーマン・マーシャル・ファンドの専門家アンドリュー・スモール氏は「2国間の交渉よりも包括的な対応を求められている」と話す。ウイルスの発生源は中国であり、中国には各国への支援圧力が高まっていると見る。

アラブ首長国連邦(UAE)ナショナル・ディフェンス大学のモハン・マリク教授は、一帯一路参加国の景気悪化や政治・社会の不安は、習氏の指導力と外交に影響すると読む。全ての参加国への援助は難しく、対象国を絞ることになるとも分析。具体的にパキスタンやカンボジア、ラオス、ジブチ、スリランカなどを救済対象に挙げた。

各国で経済低迷が長引けば、中国が描いたインフラ整備が遅れ、事業を縮小せざるをえなくなる可能性もある。

英エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのリポートによると、パキスタンの国内総生産(GDP)は2019年度に前年度比でマイナス1.6%となる見通し。新型コロナの感染者数は3万人に達しているにもかかわらず、政府は経済への影響を恐れて9日にロックダウンの解除に踏み切った。パキスタンは20カ国・地域(G20)にも救済を求めている。

英文をNikei Asian Reviewに掲載しています。

(https://s.nikkei.com/3fHO3Lg )

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