株価下落はマンション価格に影響する? 半年後を注視
20代からのマイホーム考(1)

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2020/6/1 2:00
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新型コロナウイルスの感染拡大は、わが国の経済にも大きな影響を及ぼしています。こうした影響が今後どのように広がっていくのかといった予想が株価に織り込まれ、日経平均株価は3月に大きく下落しました。株価下落は経済停滞を想起させますが、株価下落がマンション価格に影響をもたらすことはあるのでしょうか。

■長期的には株価と住宅価格の相関は強い

グラフは国土交通省の不動産価格指数(マンション)と日経平均株価(月次)の推移を示したものです。一見してわかるように、マンション価格と株価はほぼ同じように動いています。

ここで、株価と不動産価格指数の相関関係を定量的に表すために相関係数を算出してみます。

相関係数とは、例えば株式Aと株式Bの値動きについて、同じような動きをするのか、反対の動きをするのか、あるいはまったく関係がないのかを知るときに利用される係数です。相関係数は-1から+1までの数値で表され、0の場合は相関関係なし、マイナスの場合は負の相関関係(一方が上がれば、もう一方は下がるという関係)、プラスの場合は正の相関関係(一方が上(下)がれば、もう一方も上(下)がるという関係)にあると考えます。

相関の強さは、係数が-0.2~+0.2の範囲だとほとんど相関なし。±0.2~±0.4(複合同順、以下同じ)で弱い相関あり、±0.4~±0.7で相関あり、±0.7~±1で強い相関ありと一般にはいわれています。

計算結果は0.935となり、2008年4月から19年12月までの期間でいえば、マンション価格と株価は「正の強い相関あり」という結果になりました。

■短期、中期の株価推移は住宅価格に影響を及ぼすか?

08年から19年までの期間でみると正の強い相関があるということが分かりました。ところで、ここ数年で見た場合の相関係数はどうなっているのでしょうか。

16年から19年について先ほどのグラフを見てみると、必ずしも強い相関があるようには見えません。相関係数を計算してみると0.534となり、先ほどの相関係数よりずいぶん低い数値になっています。

株価は短期間で大きく変動するものです。一方、マンション価格は、日々変化する株価と同じように変動することはありません。マンション価格は周辺相場に強く影響しますので、変動は緩やかになるはずです。また、その日その日の株価そのものに私たちが反応してマンション価格が日々決まるというのではなく、一定の期間の中で私たちが認識する株価水準、例えば、今日までの過去1年程度の平均株価が住まいの価格に影響していると考えたほうが自然です。

■株価の影響が最も効くのは半年後

そこで、株価を過去12カ月の平均、すなわち12カ月移動平均にしたうえで、相関係数を計算してみます。結果は0.786(強い相関あり)となりました。

とはいえ、株価の変動が即座にマンション価格に波及するわけではないと考えられます。そこで、株価とマンション価格指標を3カ月ずつずらして相関係数を計算することで、株価とマンション価格の相関係数の変化を確認してみました。結果は以下のグラフの通り、株価の変動から6カ月後の相関係数がピークとなっていますので、株価変動の影響がマンション価格に最も影響を与えるのは6カ月後ということになりそうです。

2万4000円前後で推移してきた日経平均株価は、3月に一時1万7000円を割り込む水準まで落ち込みましたが、現在は2万円前後で推移しています。今回計算した相関係数は、過去のデータから導出されたものですし、そもそも株価だけでマンション価格が決まるわけではありません。とはいえ、今後の株価動向には留意しておく必要はありそうです。

田中歩(たなか・あゆみ)

1991年三菱信託銀行(現・三菱UFJ信託銀行)入行。企業不動産・相続不動産コンサルティングなどを切り口に不動産売買・活用・ファイナンスなどの業務に17年間従事。その後独立し、「あゆみリアルティーサービス」を設立。不動産・相続コンサルティングを軸にした仲介サービスを提供。2014年11月から個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクションなどのサービスを提供する「さくら事務所」にも参画。

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