9月入学、知事の6割「賛成」 グローバル化進展期待
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2020/5/12 18:00 (2020/5/13 5:37更新)
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入学式の受け付けをする新入生と保護者ら(4月4日、大阪市浪速区の大国小学校)

入学式の受け付けをする新入生と保護者ら(4月4日、大阪市浪速区の大国小学校)

学校の始業や入学時期を9月にずらす「9月入学」について、日本経済新聞が都道府県知事に賛否を聞いたところ、回答したうちの約6割が賛意を示した。グローバル化の進展に期待する声が目立った。自民党は12日、導入に向けた検討チームの初会合を開催、政府・与党は課題の整理を進めている。就職活動への影響などを巡って慎重な検討を求める意見もあり、議論を今後さらに深める必要がある。

知事は教育委員会の委員任命や教職員給与などの予算を通じ教育行政の一端を担っている。知事の意向は議論の行方にも一定の影響を与える。

9月入学は新型コロナウイルス感染拡大による休校で、大幅に不足する授業時間を確保する方策として浮上した。知事を対象に5月上旬にアンケートをしたところ、12日までに賛否を明らかにした41人のうち、東京や大阪など18人が「賛成」と答えた。「どちらかといえば賛成」の6人を含め約6割が賛意を示した。「反対」は島根と大分の2人、「どちらともいえない」は15人だった。

賛成派からは「社会全体のグローバル化が進む中で積極的に進めるべきだ」(群馬)といった声が上がった。「(コロナの)ピンチをチャンスに変える発想」(宮城)と、教育制度を世界標準に合わせる好機にすべきだとの意見もあった。

反対した大分は「(入学時期を9月にするだけで)本当にグローバル化といえるのか」と疑問を呈した。

今年からの導入には17人が「反対」と答え、賛成の9人を上回った。早期実現には法改正などで時間的制約が多いとの見方がある。導入への課題を複数回答で尋ねたところ「国民の意識醸成」(35人)が最多で、「新卒者の進学・就職に影響」(33人)が続いた。

政府・与党は導入に向けた議論を進めている。自民党は12日、検討ワーキングチームの初会合を開いた。学校関係者への意見聴取を経て、5月中にも政府への提言をまとめる。出席者によると賛成論が多く、明確な反対論はなかったという。

政府側はこの会合で、9月入学で見込まれる影響を説明。来年9月からの始業にすれば新型コロナで減った学習機会を補えるほか、秋入学が一般的な海外の学校の留学生との交流促進や、夏休みを年度途中に挟まないことによる学校運営の合理化を利点とした。課題としては入学が遅れることに伴う保育所の受け入れ態勢の拡充や、私学に通う家庭の学費負担増などを挙げた。

検討が進む9月入学だが、実現には越えるべきハードルも多い。

現在、入学を5カ月遅らせる案が軸になっている。2021年4月の小学校入学を9月にずらす場合、義務教育のスタートが7歳5カ月からとなる子どもが出てくる。世界的にも異例の遅さとなり、国際的な学力比較の面で懸念の声がある。

21年9月に入学する小1は、20年度中に6歳になる子に加え、21年4~8月に6歳になる子も加わり、17カ月分(通常の約1.4倍)の人数に膨らむ。教室や教員の確保が必要になる。

9月入学を巡っては東京大が11年に本格的に検討。だが就職・採用活動など社会全般のスケジュールと足並みがそろわず導入には至らなかった。経済界との本格調整も不可欠だ。

私立学校では授業料収入が5カ月途絶えた場合、経営に大きな打撃だ。国による財政支援の是非も検討課題となる。

長期的には賛成でも、短期的導入には慎重との意見も教育界に少なくない。メリットとデメリットを本格的に議論していく必要がありそうだ。

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