今日も走ろう(鏑木毅)

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身近な自然で安らぎを 汗をかき、一瞬でも爽快感

2020/5/14 3:00
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全国で緊急事態宣言が発令され多くの人々が非日常の生活を強いられている。私も仕事の大半がキャンセルとなり、再開の見通しも全く立たず不安な日々を送っている。そこへ医療従事者などリスクの最前線で対応する人々の疲弊ぶりを耳にすると、今さらながらもっと早い時期での断固たる対応が必要だったのではないかと暗たんたる気持ちになる。

振り返れば日本で感染が本格化する以前の2月の国会における政府の答弁は要領を得ないものだった。あまりの危機感の無さに少々いら立ちをおぼえたものだ。その後も大きな決断をすべきタイミングが何度もあったように思えてならない。

歴史的に見ても日和見、事なかれ主義に陥って失敗を招くケースはままある。全ての責任を負うべき政治家が覚悟を持てず、決定機を逃して事態を悪化させてしまう。日本独特の政治風土ともいえるのかもしれないけれど、その代償はあまりに大きい。今後の対応次第で挽回もできよう。それでも今回の新型コロナウイルス問題が落ち着いた段階では十分な検証が必要だ。

顔と口を覆う他者への配慮を忘れずに走る

顔と口を覆う他者への配慮を忘れずに走る

私もできる限り外出を避けて自宅で補強的なトレーニングに取り組んでいる。たまに屋外に出て駆け出す瞬間の爽快感はたまらない。人通りのある場所では、頭部や首を覆う布を加工し、肌とずれが少ないランニング専用のマスクを着けて走る。多少息苦しく、これから暑くなってくると必ずしも快適とはいえない。それでも、通常より大きく息を吸い込む力が必要になるのを呼吸筋を鍛える良い機会だと前向きに受け止めている。

先の見えないストレスで押しつぶされそうになっていても、汗をかくと一瞬だけでも忘れられる。今さらながら自分の生活にとって走ることは欠かせないのだ、と実感する。

4月20日に日本山岳・スポーツクライミング協会など山岳4団体から、移動によるリスクや山間部の地域への配慮から登山を控えるべきだとの共同声明が出された。当分は山での練習は控えるつもりだった私も、「最後には山がある」と自分の心のよりどころにしていただけに衝撃を受けた。

国内での環境保護活動に寄与する団体であるコンサベーション・アライアンス・ジャパンが、「野外に出るときに 5つのガイドライン」を提唱しているので参考にしてほしい。他者との距離をとるなどの配慮をしつつ、家の近くにある身近な自然を楽しもう、ケガや病気をしないように慎重に行動しよう、休業・休園・閉鎖・中止をリスペクトしよう、との呼びかけだ。

今は誰もが自分はもしかしたら感染していて、他人にうつす可能性があるのだから他者への配慮は欠かせない。ただ、気持ちが暗くなりがちな状況下だからこそ、ランニングや自然の豊かさを享受する権利を愛好者全体で確保するという意識も大事になってくる。

「天は自ら助くるものを助く」ともいう。県境を越えるような遠出をしなくとも身近な自然でいい。その中でわずかな時間でも過ごす。それだけで心が軽くなるはずだ。何かの助けを待つ受け身の姿勢ばかりでなく、小さな積み重ねを通じて、意識して平静を保つ努力をする時なのかもしれない。

(プロトレイルランナー)

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