神鋼、前期は3期ぶりの最終赤字 鉄鋼などで減損

2020/5/11 18:56
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神戸製鋼所は11日、2020年3月期の連結最終損益が680億円の赤字(前の期は359億円の黒字)だったと発表した。鉄鋼事業やアルミ・銅事業で減損損失を計上し、2月時点の見通しから赤字幅が拡大した。新型コロナウイルスの感染拡大で事業環境の好転の兆しが見えない中、設備投資の凍結などで乗り切る構えだが、苦しい状況は今後も続きそうだ。

新たに導入した成分調整のための新型炉(加古川製鉄所)

2月には20年3月期の連結最終損益を150億円の赤字と予想していた。しかし国内造船向け需要が縮む鋳鍛鋼品の製造設備や航空機向けチタン製品の設備などで計499億円の減損を計上し、今回の結果となった。

事業別では鉄鋼事業の経常損益が213億円の赤字(同47億円の黒字)、アルミ・銅事業が204億円の赤字(同15億円の赤字)と厳しかった。売上高は前の期比5%減の1兆8698億円。決算発表では、21年3月期の通期見通しの開示を見送った。新型コロナの影響で世界的に経済活動が停滞しており、勝川四志彦取締役は「現時点で(影響の)範囲や程度を合理的に見積もることができない」と説明した。

神鋼は鉄鋼事業だけでなくアルミ・銅事業や建設機械事業、電力事業も展開し、収益源の裾野は広い。それでも売上高構成比で約4割と最も大きい鉄鋼事業はコロナ禍で逆風が強まっている。

自動車を中心とする製造業の工場停止や、建設業界の工事中断が相次いだことで鋼材需要は激減している。競合の日本製鉄やJFEスチールは4月に入ってから複数の高炉の一時休止を決断した。神鋼は一時休止には踏み込んでいない。勝川取締役は「足元では考えておらず、今後の市場動向次第だ」と語った。

コロナ禍の影響は鉄鋼事業だけではない。アルミ板や自動車用サスペンションなどの需要縮小、機械関連でも東南アジアや欧米などで受注の減少が予想される。「全ての事業において何かしらの影響が出るだろう」(勝川取締役)という。

神鋼は17年にアルミ・銅製品での品質データの改ざんが発覚した。不正の発覚以降、業績は低空飛行が続き早期の回復を目指して固定費の圧縮など収益改善策を進めてきた。新型コロナはこの道のりに影を落とす。21年3月期の黒字化について勝川取締役は「今の時点では分からない」と述べるにとどめた。本格的な回復には、まだしばらく時間がかかりそうだ。

(湯前宗太郎)

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