「疑陽性ゼロ」のコロナ抗体検査薬 日本は5月下旬に

BP速報
2020/5/11 19:30
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新型コロナウイルス(イラスト提供:CDC/ Alissa Eckert, MS; Dan Higgins, MAMS)

新型コロナウイルス(イラスト提供:CDC/ Alissa Eckert, MS; Dan Higgins, MAMS)

日経バイオテク

臨床用検査機器や検査薬を手掛ける米オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックスは、新型コロナウイルスの2種類の抗体検査薬が米食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可(EUA)を4月25日に得た。既に米国などで出荷が始まっており、今後は大量生産体制を整備していく。日本国内では5月下旬から研究用試薬として売り出す。

オーソの抗体検査薬は、陰性のものを正しく陰性と判定する「特異度」が100%なので、新型コロナウイルスに対する抗体を持っていない人が間違って陽性と判定される「疑陽性」がない。同社でチーフ・イノベーション・オフィサーを務めるチョッカリンガム・パラニアパン氏は取材に対し「2種類の製品ともFDAによる徹底的な審査を受けており、100%の特異性(特定の抗原を認識する性質)で承認されている」と語った。

新型コロナの出口戦略を考える上で抗体検査の重要性が高まっている。疑陽性がゼロであることが保証された検査薬が市場に投入された意義は大きいと言える。

2種類の製品はそれぞれ役割が異なる。「ビトロスAnti-SARS-CoV-2 Total抗体検査試薬キット(COVID-19 Total抗体検査試薬)」は、感染初期にウイルスが体内で増殖している際に同時に出現するIgM抗体を含む全ての抗体(IgA、IgM、IgG)を検出する。他の臨床情報と組み合わせることで、患者がウイルスに感染しているかどうかを診断するのに役立つ。

もう1つの「ビトロスAnti-SARS-CoV-2 IgG抗体検査試薬キット(COVID-19 IgG抗体検査試薬)」は、感染後期から出現するIgG抗体のみを検出する。つまり患者が回復途中もしくは軽快した後にも体内に残り続けるIgG抗体のみを判別する。

両試薬はオーソの全自動免疫検査機器「ビトロス」シリーズに最適化されている。患者の静脈から血液を採取し、遠心分離などの前処理をした後に専用試薬を混ぜて機器にセットすれば、1時間ほどで結果が得られる。「ビトロス」シリーズは米国内では1000以上の病院や検査センターに、日本でも400カ所以上に設置されている。既に医療機関で稼働している機器を活用することで、検査体制を迅速に整備することができる。

■抗原は表面に突き出るスパイクたんぱく質

基本的な測定法は酵素免疫測定法(ELISA法)に基づいている。抗原はウイルスの表面に突き出ているスパイクたんぱく質だ。血液中にある特異抗体(特異性を持つ抗体)と抗原が結合したときの化学反応による発光で測定する。オーソは特異性を測定するために、2018年以前に保存されていた400以上の血液検体(すべて陰性)を使って、特異度が100%であることが実証できたとしている。

新型コロナウイルス感染症患者の血液サンプルもテストされた。パラニアパン氏は、「最初に35人から45人の新型コロナウイルス感染症患者の血液をテストして、疾患の初期から疾患の進行に至るまでのサンプルで抗体の存在を測定した。私たちのテストは患者の新型コロナウイルス感染症の抗体を確実に検出した」とコメントしている。

ただ、同社は陽性のものを正しく陽性と判定する「感度」が100%であることは保証していない。ウイルスに感染した後に特異抗体の産生量(抗体価)が上昇してくるかどうかは個人によって異なるためだ。

(日経バイオテク 坂田亮太郎)

[日経バイオテクオンライン 2020年5月11日掲載]

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