塩野義の前期、純利益9%減 抗インフル薬販売低調
塩野義製薬が11日発表した2020年3月期の連結決算は、純利益が前の期比9%減の1212億円だった。季節性のインフルエンザの流行が小規模だったため、インフルエンザ関連製品の国内販売が大きく減った。
売上高は8%減の3349億円、営業利益は10%減の1252億円だった。19~20年のインフルエンザの流行が例年に比べ穏やかだったため、検査薬を含めたインフルエンザ関連製品の売り上げが苦戦し、国内の医療用医薬品販売は前の期比16%減だった。抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」の売り上げは98%減の4億3千万円だった。
一方、同社が出資し抗エイズウイルス(HIV)薬の製造・販売権を提供する英ヴィーブ社からのロイヤルティー収入は2%増の1271億円だった。
21年3月期からは国際会計基準を適用する。前期と単純比較はできないが、売上高に当たる売上収益は3235億円、純利益は1036億円を見込む。ゾフルーザの開発に伴い受け取るマイルストン収入が減るほか、抗HIV薬のロイヤルティー収入が為替の影響で減少するとみる。年間配当は3円増の106円とする方針だ。
新型コロナウイルスの感染拡大による業績への影響は明確に織り込んでいないが、手代木功社長は「欧米で臨床試験(治験)に影響が出始めている」として、治験の場所や時期などについて対策をとっていく考えだ。
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