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国際交流の担い手、五輪延期で「もてなし」練り直す

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2020/5/14 2:00
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多くの外国人が訪れる東京五輪・パラリンピックは国際交流を進める貴重な機会だ。新型コロナウイルスの感染拡大で大会開催が1年後になったが、自治体の国際交流員やボランティアは自身の技能や体験を生かし、選手団をもてなそうと準備を続ける。選手らと住民の交流を予定していた自治体は来年に向けて計画を練り直す。

■語学をブラッシュアップ

京都府八幡市在住で東京都「都市ボランティア」、山本広子さん

京都府八幡市在住で東京都「都市ボランティア」、山本広子さん

京都府八幡市の山本広子さん(60)は東京都が募集した都市ボランティア。開催1年延期が決まったときは2度のオリエンテーションに参加し、ユニホームの採寸も終えていた。「やる気満々だっただけに、本当にがっかりした」

自身を「駅の券売機の前などで困っている外国人を見かけたら『どうしましたか』とつい声をかけてしまう性分」という。国内外のツアーの添乗員やガイドをしてきた経験も生かせる。「もともと人と触れ合うのが好きで、何らかのお手伝いをしたい」とボランティアの募集に手を挙げた。

東京出身。1964年の前回大会では通っていた幼稚園の先生に連れられ、国立競技場の近くで旗を振った。五輪には思い入れが強く、母が住む実家が都心に近いことも背中を押した。

今は改めてやる気を高めている。「本番まで時間ができた分、さらに英語をブラッシュアップしたい」。英語検定試験「TOEIC」のCD教材で勉強したり英字紙の気に入った記事を音読したりして、語学力向上に取り組んでいる。

■「選手第一」と交流の両立に挑む

クロアチア出身で新潟県十日町市の国際交流員、スベン・ビエランさん

クロアチア出身で新潟県十日町市の国際交流員、スベン・ビエランさん

「こればかりは致し方ない。私の計画とは少し違うが、2021年夏の事前合宿受け入れへ最後まで力を尽くしたい」。新潟県十日町市の国際交流員、スベン・ビエランさん(31)は開催1年延期について聞かれると、こう強調した。

ビエランさんは東京五輪で同市がホストタウンを務めるクロアチアの出身。柔道やテコンドー、陸上など6競技の事前合宿を受け入れる。選手らの滞在日程の調整やホテルの手配、練習場の確保のほか、住民との交流などを企画する中心的な存在だ。

大会延期決定を受け、電話やメール、SNS(交流サイト)などで母国のオリンピック委員会や競技団体、選手とのやりとりに奔走した。「これからは予算や契約書などもすべて作り直さなければならない」と苦笑する。

それでも明るく前を向く。19年夏の五輪テスト大会で、ビエランさんらは空手など3競技の事前合宿受け入れを経験できたからだ。「選手第一」と交流の両立へ課題を洗い出す貴重な機会だった。

■最も思い出になる大会に

インド出身で島根県奥出雲町の国際交流員、グルン・エナさん

インド出身で島根県奥出雲町の国際交流員、グルン・エナさん

島根県奥出雲町の国際交流員、グルン・エナさん(25)はインド出身。開催1年延期について「とても残念だが、人の命に勝るものはない。適切な判断だ」と話す。そのうえで「『先の見えない暗いトンネル』を世界の人々が抜けたとき、東京五輪は最も思い出になる大会になるのではないか」と気持ちを新たにする。

奥出雲町はインドのホストタウン。町内にある県立横田高校がホッケーの強豪校という縁で、アジア最強のインド代表の事前合宿誘致を目指していた。

ニューデリー生まれのエナさんは交流の機運を盛り上げようと、小中学校でインドの文化を紹介したり、給食に母国の家庭料理の提供を提案したりした。

延期決定直前まで町内の生徒や住民らと、インド代表への応援メッセージの動画を作っていた。だが、コロナ禍で学校が臨時休校になり、作業は延期になった。エナさんは「インドと日本の代表を目指す若い選手が互いに刺激を受けて成長し、国境を越えたスポーツ精神で結ばれてほしい」と熱い思いを語る。

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