台湾プロ野球に歓声戻る コロナ対策奏功、1千人限定で
【新北(台湾北部)=伊原健作】台湾のプロ野球(CPBL)が8日、球場への観客の受け入れを開始した。新型コロナウイルスの封じ込めが奏功し、感染が広がるリスクが低下したと判断した。1試合当たり1千人の制限付きだが、球場では久々に訪れたファンが大歓声を送った。世界でプロスポーツの活動停止が続くなか、防疫対策を取りつつ正常化を模索する先行事例として注目を集めそうだ。

受け入れ初日となる8日は2試合が行われ、新北市の富邦ガーディアンズは本拠地で統一ライオンズと対戦した。会社員の黄新翔さん(39)は「球場に来られる日が来るなんて現実とは思えない」と感慨をにじませ、「防疫対策を頑張ってよかった」と話した。
台湾は水際対策を徹底し、新型コロナの感染を封じ込めている。8日時点の感染者数は440人で、海外などからの流入を除く「本土感染」は26日連続でゼロだ。
台湾プロ野球は4月12日に世界に先駆け無観客で開幕した。今回は観客を入れるため、実名の事前登録や検温、マスクの着用、渡航歴や体調を記した書類の提出を義務付けた。隣の席とは大きく間隔が空くように座席の指定もした。当初1千人としている入場人数の上限は、段階的に引き上げていく方針だ。
試合前の式典には新型コロナ感染対策を指揮する陳時中・衛生福利部長(厚生相)も出席した。陳氏はあいさつで「これからもマスクを着け、他者との距離を確保するなどの対策が必要だが、生活をより楽しめるようにしたい」とあいさつした。
台湾プロ野球の試合動画を配信するサイトには、米国や日本など海外からのアクセスが増えている。自国のプロスポーツが活動していないため、先行して開幕した台湾に注目が集まっているといい、4月には米からを主体に約65万人が視聴した試合もあった。運営団体は再開のノウハウを海外と共有するなどして海外との交流を活発化し、知名度の向上を狙う。

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