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タッチレス化で感染防止 ドアノブ・ボタン、触らぬ知恵

新型コロナウイルスへの感染を防ぐため、公共施設やオフィス、クリニックなどで、エレベーターの押しボタンやドアノブを「触らない」工夫が広がっている。消毒用アルコールの品薄が続くなか、綿棒や段ボールなど入手しやすい素材で知恵を絞る。身近な生活の場で「タッチレス」を目指す動きが進みそうだ。

旭川医科大病院の阿部泰之准教授は、触らずに扉や窓を開けられるアイテム「アンタッチャプル」を考案し、動画投稿サイトで作り方を公開した。カバンを机などにつり下げる際に使う日用品「バッグハンガー」を応用。不特定多数が触るドアの取っ手や窓の鍵にひっかけて操作する。ATMのタッチパネルなども操作でき、ストラップに付ければ持ち運びやすい。

材料は100円ショップやホームセンターで手に入る。「感染を防ぐことが自分自身と大事な人を守ることにつながる。子どものいる家庭ではぜひ一緒に工作してほしい」と呼びかける。

大型連休に例年多くの観光客が訪れる温泉地の神奈川県湯河原町。今年は外出自粛でひっそりしているが、地元の人が行き交うJR湯河原駅と住宅街をつなぐエレベーターの外に、半分にカットされた綿棒が発泡スチロールにいくつも突き刺してある。新型コロナの感染防止策で同町が指で触れずにボタンを押せるように設置したものだ。地元の介護士の40代女性は「エレベーター内は感染拡大の原因となる『3密』になりやすく、飛沫も気になるので助かる」と話す。

利用者はボタンを指の代わりに綿棒の頭で押し、使ったら捨てる。発案者の須藤裕明環境課長によると「多いときで1日200本ほどが使われる」。新型コロナの発生源とされる中国・武漢のエレベーターでつまようじが使われているのを知り、危険がないよう綿棒にした。須藤課長は「触った場所にウイルスが付着している可能性があることを意識してもらうきっかけになれば」と話す。

ゲームソフト開発のヴァニラウェア(大阪市)が会社玄関やトイレの出入り口に設置したのは「ドアノブ触らないシステム」。段ボールで手作りしたドアストッパーで、粘着テープを丸めて裏面に貼って固定しただけで作成費はほぼゼロだ。

作成した同社プログラマーの大西憲太郎さんは、トイレで手洗い後に扉の取っ手に触れなければいけないことが不快だった。「ウイルスは目に見えない敵で、本当に感染するかを考え出すと気がめいる。手軽な対策で安心できれば」と話す。

この機会にペーパーレス化を進めたクリニックもある。川崎市のある内科医院は患者の受付時に渡していた番号券を廃止した。患者はオンラインで予約し、院内のモニターと音声で番号を呼び出す。「紙の受け渡しはリスクがあるため廃止した」と院長。新型コロナの感染が収束した後も継続するという。

それでもドアノブなどを触れてしまう人向けに、手洗いを促す商品も登場した。悪巧みをしてそうなウイルスたちが描かれたシール――。消防設備の保守管理を手掛けるイグジット(大分市)の吉岡峡子さんが作った「触ると手を洗いたくなる」しかけだ。職場の出入り口のドアノブに貼ると、さっそく同僚や取引先から「なんだか気持ち悪い。手洗いしなきゃ」と反応があった。

「手洗いを忘れていたら互いに声をかけるようにしていたが、大人同士だと言いづらかった」と吉岡さん。ウイルスのイラストをパソコンでデザインし、透明なシール台紙に印刷した。「手洗いの習慣がなかった人が日常的に行うきっかけになれば」と、イラストを個人のブログで公開。評判を呼んだことからシール4点330円でネット販売も始めた。

(金子冴月)

コロナウイルス、プラ表面に72時間生存

 新型コロナウイルスは一般に、感染者のくしゃみなどによる「飛沫感染」のほか、せきなどを押さえた手で触れた物を媒介してウイルスがうつる「接触感染」がある。厚生労働省は感染予防のため施設を持つ事業者らに、エレベーターのボタンやドアノブ、手すりなどの定期的な消毒を推奨している。
 愛知医科大病院の三鴨広繁教授(感染症学)によると、新型コロナウイルスは厚紙で平均24時間、ステンレスで48時間、プラスチックで72時間生存する。「リモコンやスイッチ、ドアノブなど多く触る場所は1日1回以上の消毒が必要」で、次亜塩素酸ナトリウムを含む家庭用消毒剤を使うのがよい。手指の除菌に特に有効なのは手洗いで「流水とせっけんで30秒洗えばウイルスは99.9%いなくなる」という。
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